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| レーベル;MUSIKE (スイス) | 入手性;本文参照 | |
| CD番号;無し(プライベート盤) | お気に入り度;★★★ | |
| 録音年月日;2000年8月5-10日 録音;DDD | 資料的貴重度;★★ | |
| 収録時間;53分42秒 | 音質 ;★★★★ | |
Maurice BourgueとJean-Bernard Pommierと言えば、かなり名の通ったソロのオーボイストとピアニストで、店頭でCDを見かけることも多いですね。そしてこのCDの収録曲は、クララの曲を除けば有名な曲ばかり。それなのにこのCDはプライベート盤で、一般のお店では入手できないようです。国内はもちろん、海外のインターネットCDショップの検索リストにも掲載されていません。
このCDのレーベル名になっているMUSIKEは、Pommierが中心となって設立された、主に音楽教育を目的とした種々のイベントを催す組織との事です。従ってこのCDもオーボエを学ぶ人の為に製作されたようで、私は東京・新宿の「日本ダブルリード」というオーボエの販売を行う会社から入手しました。このCDの簡単な新製品紹介が日本ダブルリード社のHPの中にありますが、限定販売との事なのでいずれリンク切れになるかも知れません。このCDが欲しい方はお早めに日本ダブルリード社にお問い合わせください。インターネット上で発注出来ます。
クララの「ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22」のオーボエによる演奏を収録したCDは、シェレンベルガー/クーネン盤以来の二枚目となります。どちらもローベルトのオーボエとピアノで演奏可能な主な曲も収録しており、自ずとブルグの演奏もシェレンベルガーとの比較に耳が行きます。
ブルグのオーボエの音色は、高音の澄んだクリスタルのような輝きがあり、最初のアダージョとアレグロ作品70からその澄んだ響きに惹き込まれます。演奏はピアノ共々誠実、実直といった感じです。情感表現を抑えた、それぞれのパートパートで楽譜に何が書いてあるのか手に取るように分かる演奏、と言えばそのスタイルが伝わりますでしょうか?
対するシェレンベルガーのオーボエの音は、重心が低く、録音もとてもゆったりとした優しい音場空間を作り上げています。演奏は情感豊かな妖艶なもので、オーボエが女性の歌声のように聞こえます。オーボエの響きの中に細かな抑揚、ヴィヴラートが織り込まれて、聴き手は自然に音楽の中に惹き込まれて行きます。シェレンベルガー自身もオーボエを「女性の歌声」の様に響かせることを狙ったのでしょう、彼のCDには歌曲編曲も多数収録されています。
それに比べるとブルグの演奏は禁欲的で細かな抑揚も少なく、オーボエの音はあくまでオーボエに聞こえます。いわば教科書的とでも言えましょうか。この禁欲的な演奏が引き立つ曲もありますが、シューマンの曲の鑑賞となると、名盤シェレンベルガーの方に軍配を上げたくなります。とはいえ、他のCDとの比較などせずにこのCDだけを聴いていれば、その誠実な演奏に不満を覚えることはありません。私も3回ぐらい連続で、満足しながらこのCDを聴き通しました。
クララの作品22はしばらく聴き進んだあとの12トラック目に収録されていますが、上記に書いた印象は変わりありません。オーボエの名手が吹いた室内楽、という感じで、残念ながら作品22の持つ可愛い女性がささやくような、チャーミングなまでの愛らしさは十分に表現されていません。抑揚もヴィヴラートも消え入るようなディミニュエンドも殆ど無い演奏は、女性的と言うよりもむしろ男性的、「甘えた様な」よりは「紋切り型」の語り口で、聴き込むほどに欲求不満になります。これはブルグ一人の考えではなく、ピアノの音も同様にニュアンスよりは一つ一つの音の明晰さを狙った様な演奏です。2年ほど前に狂喜乱舞したシェレンベルガーの愛らしいニュアンスのスコールの様な作品22の演奏とは対極にある演奏と言えましょう。
録音状態ですが、楽器の音はとてもクリアに収録されています。ただオーボエの操作音だと思うのですが、細かな雑音も明確に収録されており、長時間聴き続けていると気になります。