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Clara & Robert Schumann
Christina Bjorkoe (Pf)

レーベル;CLASSICO 入手性;海外現行盤
CD番号;CLASSCD 445 お気に入り度;★
録音年月日;2003年8月 録音;DDD 資料的貴重度;★
収録時間;54分24秒 音質    ;★★★


収録曲

クララ・シューマン

    1. ローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20
    2. プレリュードとフーガ・作品16-1
    3. ロマンス・作品21-3
ローベルト・シューマン
    4. 幻想曲・作品17




コメント

ピアニストのクリスティーナ・ビイェルケについては、ジュリアード音楽院を卒業後、1997年にデンマーク王立管弦楽団にてデビューしたピアニストという以外の主要な情報はCDライナーノーツに記載されていませんでした。しかしCLASSICOがデンマークのレーベルである事から恐らくデンマーク人と思われます。

さて演奏ですが、一言で言えば、破天荒です。全ての音符にスタッカートを付けたかのような粒立ちの良過ぎる強奏か、全ての音符に軽くフェルマータを付けて、フレーズをバラバラにしてスローモーションで弾く弱奏か、音符を省略してテンポも気ままに揺れ動かして別の音楽にしてしまう変奏か、これらの組み合わせでこのCDが構成されています。

クララの作品20、「ローベルト・シューマンの主題による変奏曲」の冒頭、ローベルトの作品99-4の主題は妻が愛する夫の象徴であるメロディを愛情を以て柔らかに弾く音楽ですが、いきなり粒立ちの良過ぎる強奏で主題が演奏されます。その後の変奏ですが、この曲を恐らく100回は聞いているであろう私の耳にも「これ、何の曲?」と首を傾げる演奏が繰り広げられます。第二変奏は主題演奏と同様の粒立ちの良過ぎる、強奏部で音が割れがちな演奏です。第三変奏は音の強弱が大き過ぎて、強奏部では音は完全に割れています。第四変奏はゆるやかな楽章で、冒頭部分は比較的ノーマルですが、後半はテンポを落とすと同時にメロディラインが分断されがちになります。第五変奏は速過ぎる前半と、鍵盤を叩き過ぎる後半。第六変奏は緩やかな楽章ですが比較的まともでした。第七変奏冒頭はテンポが遅過ぎて、横のメロディラインが崩れています。中間部からはテンポが大きく気まぐれに揺らされて、音符の味付けもバラバラで、弱奏の中に突然のフォルテッシモとスタッカートが鏤められ、この最終変奏の持つ妻が夫に寄り添うような穏やかな幸福感は希薄です。ローベルトの主題に寄りそうクララの作品3の主題も片鱗は伺えるものの、メロディラインがスムーズではなく、クララの美しさを表現出来ていないと思いました。かつてBarbara Moserのこの曲の演奏を「おぞましい演奏」と評した事がありますが、あの演奏ほどでは無いにせよ、目茶苦茶と評したい演奏です。

プレリュードとフーガ作品16-1のプレリュードは、テンポが極めて遅めにとられて、嫋やかに弾かれてはいるのですが、横のメロディラインが時々つながっていない印象を受けてしまいます。フーガはこのCDの中では最もまともな演奏かも知れません。バッハ的な響きがこのピアニストの奔放な演奏を抑えているのかも知れませんが、絡み合う三声部を、一つだけ取り上げて強く弾き、他のパートを殆ど存在感が無いほど弱奏にする事があるので、3つのパートが絡み合うフーガという印象が時々希薄になります。

ロマンス作品21-3は全体的に速めである事に加えて、テンポが気まぐれに大きく揺らされる演奏で、速い演奏部では聴感上幾つかの音符が消え去ってしまっています。また強奏部で音が割れるので、クララのこの曲の持つ繊細さは木端微塵です。

ローベルトの幻想曲・作品17は一種のゲーム感覚で聴くと良いかも知れません。クララの曲の演奏よりも作曲者本来の音楽の片鱗を残している演奏ではありますが、気まぐれなテンポ、音符の省略、大き過ぎてデリカシーの無い抑揚、この演奏に何処まで耐えられるでしょうか...
 

入手が容易とは言えないこのCDでクララとローベルトの曲を初めて知る人は少ないとは思いますが、万一そのような方が居られましたら、是非他のCDも入手されて下さい。これがクララとローベルトの世界では決してありません。



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