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clara & robert schumann piano concertos
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Brigitte Engerer (Pf), Philippe Bender (Cond), Orchestre Regional de Cannes
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レーベル;L'Empreinte Digitale |
入手性;廃盤 |
CD番号;ED 13146 |
お気に入り度;★★ |
録音年月日;2002年3月28-30日 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;53分02秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調・作品54
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クララ・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調・作品7
コメント
このCD解説を書くためにCDを聴いていると、時々「言葉に出来る特徴」を掴めずに何度も聴き直すCDがあります。今回のBrigitte Engererによるクララとローベルトのピアノ協奏曲のCDはその最たる物で、およそ一ヶ月半に渡りこのCDしか聴かなかった時期がありました。回数にして30回以上は聴いたでしょうか。
ピアノの演奏は悪くありません。如何なる時も常にピアノの音が明確で粒立ちが良く、推進力がありますので、結構楽しめるピアノです。難があるとすればオーケストラの方です。兎に角楽器が響かない、別の言い方をすれば息苦しそうに鳴る、湿度の高い場所に保管された楽器でも使っているのか?という例え話をすれば、想像出来ますでしょうか。本当に楽器が鳴っていないのか、録音のセッティングが悪いのかは分りませんが、、、CDでの音楽鑑賞は聴感が全てですので。
ローベルトのピアノ協奏曲は、比較的魅力的なピアノと、渋過ぎるオーケストラの組み合わせで音楽が紡がれて行きます。ピアノは残念ながら現代風の演奏で、ローベルトのリズムの妙を表現する細かい楽譜指示を守ってはいませんが、それを除けば悪くはありません。第2楽章の緩やかなピアノとオーケストラの語り合いでは、オーケストラの欠点がモロに出てしまっています。ピアノのロマンティックな語りかけに対して、オーケストラがしゃがれ声で返事するので、あまりロマンティックな時間になっていません。第3楽章ではオーケストラは存在感を弱めて、ピアノ主体の音楽になっていますが、却ってその方が欠点が目立たなくて良いですね。でもそれがこの作品本来の姿ではありません。
クララのピアノ協奏曲も良いところと悪いところが入り交じり、全体としてはやや不満の残る演奏になっています。普通に演奏すると濁った感じになるオーケストラパートは、響かない楽器との相乗効果で一層濁った感じになっています。良いところはピアノの音がオーケストラから明確に分離して、クリアで粒立ち良く弾かれるところと、全体が推進力を持って演奏が進むところです。
第1楽章はオーケストラの序奏から始まりますが、ハーモニーが濁り気味で、音に透明感も無く余り魅力的ではありません。やがてピアノが入ってくると、オーケストラよりも大きな存在感を持って音楽を奏でて行きます。ローベルトの第3楽章に似て、ピアノ主体の音楽になっているので、楽しめなくは無いですが、本来の姿とも言い難いです。
第2楽章は前半がピアノ独奏、後半がチェロとのデュオなので、このCDで一番楽しめる場所です。チェロの響きがもう少し妖艶であって欲しい、という以外の注文はありません。
第3楽章はピアノ、オーケストラ共に盛り上がって、がっぷり四つの演奏を繰り広げます。通常はその方がエネルギッシュで魅力的な楽章になるのですが、オーケストラの響きに魅力が無いので、少々逆効果、、
ピアニストのBrigitte Engererは恐らくヨーロッパでは知名度のあるピアニストの様で、CDの解説書には入賞した数々のコンクールや、カラヤン/ベルリンフィルを初め共演したオーケストラの名前が延々と記されています。アマゾンを検索しても40枚近いCDがヒットして、そのレパートリーの広さに感心しますが、殆どが廃盤になっているところが、日本人でも知っているようなビッグネームとは違う部分でしょうか。CD解説書にはEngererの生まれも育ちも書いてありませんが、ネット上の情報ではフランス生まれで、パリ音楽院に学び、ロン・ティポー国際コンクール、チャイコフスキー国際コンクール、エリザベート王妃国際コンクールの三つで一位を獲得したとあります。(2012年6月23日に病気のため逝去されました)
Engererはローベルトとクララのピアノ曲集のCDも出していますが、このCDも含めて2008年8月現在どちらも廃盤になっています。少し気長に探せば、アマゾンで中古入手が可能と思われます。
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