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Secret Whispers
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Double Image pays homage
to Clara Schumann
on the century of her death in 1896
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レーベル;Meridian(英国) |
入手性;廃盤 |
CD番号;CDE 84312 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;1996年 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;71分08秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ヘルマン・ロレットの「ユクンデ」からの6つの歌 作品23
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ローベルトシューマンの主題による変奏曲 作品20
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ヴァイオリンとピアノの為の3つのロマンス 作品22
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F.リュッケルトの「恋の春」からの12の歌 作品12 (クララ作曲の3曲のみ)
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ピアノ三重奏曲 作品17
コメント
素敵なCDです。
このCDはクララ没後100年を記念して録音されました。Double Imageは1990年に編成されたアンサンブルで、メンバーはKym
Amps (Soprano), Erica Dearling (Violin), Joanna Borrett (Cello),
David Carhart (Piano)となっています。主に女性作曲家の作品をレパートリーとしているようで、メンバーも名前を見るとピアニスト以外は女性のようです。
この演奏の美点は、常に情熱が感じられることです。一つ一つの音に生気があり、クララに対する熱い想いがスピーカーを通じて拡がってきます。最初の作品23の「ユクンデ」からの6つの歌は、私のお気に入りのラン・ラオに匹敵する美しい声と、熱く、情感豊かな歌唱でいきなり惹き込まれます。ラン・ラオに比べるとやや大人びた声ですが(というよりラン・ラオがとても可愛らしい声の持ち主なのですが)、声の透明感、色っぽさは互角と言えます。精一杯のコケティッシュさを以て歌うラン・ラオに対して、キム・アンプスは精一杯の力を振り絞って情熱的に歌っています。寄り添うピアノの音も美しく、心地よい物です。これは「恋の春」からの12の歌作品12でも同じです。
二曲の室内楽も聴いていて覇気があり実に楽しいものです。
ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス、作品22の演奏も素敵です。全体的なテンポは標準よりやや速めですが、情感に満ちて、覇気を持って曲が進行されてゆきます。Gelius
Trioの演奏などと比べると、主役となるヴァイオリンの音がすこし乾き気味なのが残念と言えば残念です。
ピアノ三重奏曲の演奏は実に素晴らしい物です。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ共に実に美しい音色と、完ぺきなアンサンブル、生き生きとした音楽の進行で、作品17に雄大な世界をもたらしています。傾向は多少違いますが、Abegg
Trio, Gelius Trioと並びこの曲のベストの一つと言って良いものになっています。
このCDでひとつ難癖を付けるとすればピアノ曲の選曲でしょうか。作品20はどちらかと言えば沈んだ感じの演奏を求める曲です。歌曲、室内楽がメンバー同志が意気投合して熱い演奏を繰り広げていますが、ピアノ独奏曲の時だけ、渋めの曲を、渋めの響きを持つベーゼンドルファーでピアニストが曲を紡いで行くのです。作品20の演奏としては素敵な物ですが、CD一枚のコンサートとして捉えた場合に違和感があります。ここではより初期の作品2(ワルツ形式によるカプリース)とか、作品14(スケルッツォ第二番)ぐらいのリズム感のある曲の方が良かったと思います。
選曲の問題はさておき、演奏の方ですが、一つ一つの音符の表情を大切にしつつも標準的な〜遅すぎず速すぎないテンポで、高音のキラキラとした輝きを伴って弾いています。横方向のメロディを大切にしつつも、右手と左手の交わりも素敵で、作品20としては高水準で素敵な演奏です。
ピアノ曲の選曲を除けば実に良いCDで、しかも一枚で歌曲、室内楽、ピアノ曲が味わえます。一枚でクララの作品の全体像をつかみやすいと言えます。
このCDは2001年9月現在、廃盤アウトレットショップのバークシャーレコードにのみ有ります。実質的には廃盤で、バークシャーのリストから消えたら入手不能でしょう。
Updated in September 2001
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