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Clara Wieck Schumann / Carl
Maria von Weber
Piano Concerto Op.7 / Piano Conceroto No.1
Op.11, No.2 Op.32
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Elizabeth Rich (Pf), Janacek Philharmonic
Orch., Dennis Burkh (cond)
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レーベル;CENTAUR(米国) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;CRC 2283 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;1995年 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;73分50秒 |
音質 ;★★★★★ |
収録曲
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クララ・シューマン;ピアノ協奏曲作品7
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カール・マリア・フォン・ウェーバー;ピアノ協奏曲第一番作品11
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カール・マリア・フォン・ウェーバー;ピアノ協奏曲第二番作品32
コメント
ピアニストのElizabeth Richについて、CD解説には彼女の演奏のすばらしさは色々と書いてあるのですが、出身国、年齢などの記載は一切無く、良く分かりません。名前からすると英国出身でしょうか?女性演奏家のCD解説には何故か年齢に繋がるような記述が全く無い事がほとんどで、ちょっと困りものです。写真で見ると30才代に見えます。
最初に収録されているクララのピアノ協奏曲ですが:
第一楽章は比較的ゆったりとしたテンポで、ピアノの一つ一つの音が粒立ち良く演奏されます。前半はかなり好印象。ひとつひとつの音符を大切にした感じで、決して急ぐことがありません。ただ中間部のオーケストラとの絡み合いが盛り上がってきてテンポが速くなる筈のところで、却ってテンポを落としてしまうので「あれぇ?」と思う部分が少しあります。
第二楽章では極めてゆったりとピアノ独奏が始まります。この演奏、ほんとうにゆったりとしていて、音符の横のつながりというか、メロディが不明確になりそうなきわどさがあります。しかし中間部からチェロが加わってピアノと二重奏を繰り広げるこの曲の最大の聴きどころはとても良い感じです。テンポは相変わらず極めてゆったりとしているのですが、チェロの方は持続音なのでメロディの姿が不透明にはなりません。だからそこに寄り添うピアノも不自然にならずに、静かな静かな二重奏が紡がれて行きます。
第三楽章も冷静に聴けば相変わらずゆったりとした演奏。しかし止まってしまいそうな第二楽章から連続して演奏されるので、却ってテンポが早い感じを受けたりします。第三楽章だけを取り出すと他の演奏と比べたときの違和感は少ないです。
全曲を通じての印象は、とにかく音符の存在をひとかけらも蔑ろにしない演奏といえましょうか。耳ですべての音符を追って行けそうです。そこには細部に渡るまでごまかさないぞ!という意思が感じられます。特にピアノはひとつひとつの音符の分離を明快にし、かつ各小節の最初の音にアクセントを置きながらゆっくりと弾いて行くので、その意思をひときわ鮮明に感じます。これはこれで存在感のある演奏で、この演奏に最大限の賛辞を送る人がいても不思議はありません。個人的には杉谷さんの演奏のように盛り上がったところではもう少しテンポ良く演奏するほうが好みに合いますが。
録音状態は極めて良好で、すべての音が分離良くクリアに響きわたります。
ウェーバーのピアノ協奏曲を聴くのはこのCDが初めてなので、特に演奏についてはコメント出来ませんが、クララの協奏曲の演奏と同様に、細部にわたって音符の存在がありありと分かる演奏である事は間違いありません。ピアノの音が粒立ち良く美しく、終始存在感に満ちています。
ピアノ協奏曲第一番・作品11の第一楽章は、私の耳には、モーツアルトをもっとロマンティックにしたピアノコンチェルト、といった感じの響きを持った曲です(なんて言うとウェーバーファンには失礼かもしれない)。とにかく明るく美しい曲です。
第二楽章は聴いてビックリ!なんとチェロとピアノがゆったりと静かに二重奏を繰り広げるではないですか!(チェロは独奏では無いみたいですが、ほとんどの部分は単旋律です)クララの協奏曲の第二楽章のお手本になったような曲です。そのチェロには遠くブラームスのピアノ協奏曲第二番に聴かれるような憂愁に満ちた響きまでが現れたりします。Elizabeth
Richはチェロとピアノの二重奏にこだわって、クララとウェーバーのコンチェルトをカップリングしたのでしょうか?
第三楽章はモーツアルトというよりもベートーベン的な響きをより多く感じる、明るい中にもロマンティックな美しさと哀愁を持った曲です。
ピアノ協奏曲第二番・作品32の第一楽章は、ベートーベンの協奏曲の様なスケールの大きな曲です。しかしベートーベンの様なオーケストラの主導的な存在感という物はあまり感じられず、むしろピアノが終始主導権を握っています。
第二楽章はウェーバーのスタイルなんでしょうか?冒頭は作品11同様にピアノと弦楽器の嫋やかな絡み合いです。今度はヴァイオリン(とヴィオラの重奏かな?)...中間部に入ると管楽器や他の弦楽器も少数加わって室内楽的な世界が繰り広げられます。
第三楽章はまたスケール大きな、明るく華やかなメロディに満ちた曲です。
2001年9月現在、Amazon.comとCD Universe両方のカタログに掲載されています。
Modified in September 2001
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