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クララ・シューマン 関連書籍
伝記

現行本
(1988年第10版〜)
(1982年第8版)
真実なる女性 クララ・シューマン
原田光子・著 ダヴィッド社

「名著」という言葉はこの本のために有ります。クララ・シューマンを詳しく知る為のバイブル。戦前からある外国人の伝記でありながら、翻訳によらず、原田さんの極めて美しい日本語によって、日本人にとっても等身大の実像としてクララが記述されています。ここに現われるクララは、並みの日本人以上に日本女性の美学を備え、読む人の心を捉えて離しません。

初版の発売は昭和16年。その後昭和38年(現代仮名遣いに改訂)と昭和45年(改訂内容不明)に二度の改訂を受けて現在に至るまで現役を続けた書籍です。殆どの書籍が初版だけで消えて行くクラシック関係本の中で60年間に渡り販売されていた稀有なロングセラーです。この本によって女性としての生き方の理想、あるいは指針を見つけられた方が世代を問わず沢山いらっしゃる様です(時々新しい方からメールを頂きます)。

クララの人生、行動/言動面の記述においてはナンシー・B・ライク女史の本よりも詳しく、資料としても非常に貴重な書籍です。この本よりも詳しい物があるとすれば、リッツマンが100年以上も前に残したドイツ語で総計1500ページに及ぶ伝記だけでしょう。

大きな書店には必ず置いてあります。値段はこれだけの内容、丁寧な体裁でありながら僅か1650円+税です。何を置いてもこの本は購入されることをお勧めします。

※長らく現役の書籍でしたが、2003年に廃刊になったようです。しかし古書であれば沢山見つけることが出来ますので、入手は容易です。

この本について50年も前に3名の方々が素敵な感想文を残されています。このページの最下段に掲載しましたので是非御一読下さい。

また、原田光子さんの略歴をこちらに掲載しています。
 

廃刊
眞実なる女性 クララ・シュウマン(初版本)
原田光子・著 第一書房 1941年

原田さんの初版本です。神保町の古書店で見つけました。巻末には
 昭和十六年十月十五日印刷
 昭和十六年十月二十日第一刷五千部發行
 定價二圓、外地定價二圓二十銭
と書いてあります。言葉は旧仮名遣い、すべてのページは茶色く変色しています。60年の歴史の重みを感じさせる証人と言えましょう。

廃刊
写真はありません クララ・シューマン 愛の手紙
原田光子・著 北宋社  1991年

薄緑色のカバーのこの本は、題名も出版社も異なりますが、実は「真実なる女性 クララ・シューマン」の前半部分の抜粋版です。メンデルスゾーンの死のあたりまでしか記述がありません。そこまでの部分は一言一句「真実なる〜」の内容と変わりませんので間違えて買われないようにご注意下さい。私はかつて買ってしまいましたが、友人に譲ってしまいました。

CLARA SCHUMANN, AN ARTIST'S LIFE BASED ON MATERIAL FOUND IN DIARIES AND LETTERS
Berthold Litzmann (著)、Grace E. Hadow (英訳)、Vienna House Edition 1972 (2分冊、英文)

クララのみならず、ローベルト・シューマン研究においても第一級の資料です。オリジナルは1913年にBreitkopf und Haertelから発刊された、三分冊、総計1500ページに及ぶドイツ語書籍で、その後の多くのローベルト、クララの伝記の元資料になりました。英訳版は生憎抄訳で、二分冊合計940ページ程になっています。ページ数が物語るように、クララとローベルトの生涯について極めて詳細な記述がなされています。発刊年代が古い為か全編文字のみの内容で、楽譜の引用は希にあるものの、写真やイラストなどは殆どありません。
残念ながら廃刊で、ドイツ語版は中古で簡単に見つかり価格もリーズナブルですが、英訳版は極めて入手困難で、時として法外なプレミアム価格になったりします。英訳本には出版社の異なる幾つかの版があります。

 (2007年8月追記)永らく廃刊で英語版は1000ドル以上もするプレミアム本でしたが、2007年にLitzmann Pressからペーパーバックで復活しました。値段は二巻合わせて12000円程です。以下のリンクで購入可能です。

第1巻 第2巻(amazon.co.jpへのリンク)
クララ・シューマン 女の愛と芸術の生涯
ナンシー・B・ライク著、高野茂訳 音楽之友社 1987年

史実としてのクララを知る上で、最も詳しい記述の得られる書籍です。伝記の部分に加えて、作曲者、演奏者、校訂者、教育者としてのクララ像をそれぞれ独立した章で解説しています。作品解説や作品成立に関するデータも充実しており、このホームページを作成する上でもデータ部分はこの本に頼っている所が大です。残念ながら既に廃刊です。

廃刊
Clara Schumann
The Artist and the Woman  (2001 Revised Edition)
Nancy B. Reich,  Cornell University Press (英文)

上記の「クララ・シューマン、女の愛と芸術の生涯」の原書です。1985年に初版(英語)が発売され、更にドイツ語と日本語にも翻訳され世界中で読まれるようになってから、著者ナンシー・B・ライクには多くの人からクララとローベルトに関する情報提供がありました。また初版発売以後に出版された資料(孫娘ユリーエへの手紙も含まれます)も数多く、それらを踏まえて2001年に改訂版が発行されました。
この本には日本語版で割愛された数多くの写真、イラストが掲載されています。目で見るだけでも多くを知ることの出来る資料になっています。初版と改訂版の違いについては、この本をまだ殆ど読んでいないので何とも言えません。ただ作品目録の解説内容は初版とは比べ物にならないほど詳細になっています。

Clara Schumann  Piano Virtuoso
Susanna Reich,  Clarion Books 1999年 (英文)

ナンシー・B・ライク女史の娘さんのスザンナ・ライクが書いた、小学校低学年向けのクララ・シューマンの伝記です。この本の第一の特長は、非常に沢山の写真、イラストが掲載されていることでしょう。全118ページの殆どに写真かイラストがあり、今まで知ることの出来なかった新しい沢山のビジュアル資料を得ることが出来ます。第二の特長が、子供向けの伝記なのでクララの人生を簡潔に平易な英語でまとめている事です。ただ子供向け英語が却って難解に思えるのは私がビジネス主体で英語を学んだからでしょう。各ページの文字は老眼の兆候のある私の目にも優しい、大きな文字でとても読みやすくなっています。

下の写真はこの本の裏表紙で、クララの右手の石膏型が載っています。何となく握手したくなるのは私だけでしょうか?

ライク母娘の書籍は amazon.com か amazon.co.jp で発注できます。

Clara Schumann
Monica Steegmann (著), Life & Times Haus Publishing 2004(英文)

目次まで含めても154ページほどの、コンパクトにまとめられたクララの伝記です。英語が母国語の人がクララの事を手短に知るには良い書籍です。適度に写真やイラストがちりばめられ、英語も比較的平易なので読みやすいです。

Clara Schumann
Monica Steegmann (著), Rowohlt Taschenuch Verlag 2001(ドイツ語)

上記の本のドイツ語版です。Steegmannはドイツ在住の人なので、こちらがオリジナルで上記は英訳本になります。ドイツ語版は中の挿し絵、写真が全てカラー印刷になっています(英語版はモノクロ)。

Clara
Janice Galloway(著)、Vintage 2003(英文)

クララの半生を綴った小説で、全部で423ページあります。クララがピアノを始めた4歳からストーリーが始まり、ローベルトがエンデニッヒの精神病院でこの世を去った所でストーリーが終わっています。伝記ではなく小説なので、人の心の動き、人の仕草、情景まで子細に描かれていて、テレビ番組化か映画化を意図した内容になっています。英文は情緒的、叙情的、非形式的で、韻を踏んでいる場所もあり、私の英語力では読みやすくありません。伝記のような論理的な記述方法でも無いので客観的な事実を調べる目的にも向いていません。
英語が堪能であれば、クララの半生を生き生きとした情景とともに掴むのには良い本かも知れません。私は残念ながらそこまでの英語力が無いので、映画化されて、その日本語対応版が出るのを期待して待つこととします。

Her Piano Sang   A Story about Clara Schumann
Barbara Allman (著)、Shelly O. Haas (イラスト)、Carolrhoda Books Inc. 1996(英文)

子供向けのクララの伝記です。イラストが随所に使われた、総計61ページ、英語の活字も大きめの本です。非常に簡素にまとめられた伝記なので、この本からクララについて新しく知る事は何もありませんが、初級英語の勉強には役に立つかも知れませんね。

クララ・シューマン物語
クヴェドナウ(著)、矢崎源九郎(訳)、実業之日本社1958

原著は1956年にドイツで発刊された「Clara Schumann, Werner Quednau著」で、矢崎さんが邦訳して1958年9月に発刊された書籍です。小学校中学年向けの書籍で、平仮名が多用された平易な日本語で書かれています。伝記というよりもタイトル通りの物語で、実際には日記などの一次資料にも残っていない様な情景が脚色によって表現されており、若き読者をクララが生きた世界に現実感と共に連れていってくれます。物語はクララ9歳のゲヴァントハウスの初舞台から始まり、ローベルトの葬儀で事実上終わっています。ローベルトの葬儀(1856)からクララの死(1896)まで僅かに2ページです。この本は極めて入手が難しく、2005年になって入手したこの本以外には過去10年間で一冊も見かけていません。

廃刊
希望文庫偉人シリーズ24「クララ・シューマン伝」
上崎美恵子・文、希望ライフ昭和44年3月号付録、潮出版社 1969年

クララ9歳のゲヴァントハウスの初舞台から始まり、ローベルトの葬儀で事実上の物語を終える構成は上記の矢崎源九郎さんの本と同一ですが、文章は独自に書かれています。恐らく底本は同じクヴェドナウで、上崎さんがコンパクトに書き下ろされたものでしょう。全部で98ページの薄い文庫本で、小学生向けに物語調で書かれています。この本を2007年に入手するまで一度も情報に接した事が無いので、入手は難しいと思われます。

廃刊
クララ・シューマン 光にみちた調べ
カトリーヌ・レプロン著、吉田加南子訳 河出書房新社 1990年

この書籍はあまりお勧めしません。カトリーヌ・レプロンは小説家ですが、史実をもとに一人の人生をストーリーをもって記述する「伝記」を書く能力には残念ながら恵まれていないようです。読んでも話の筋をつかむのが困難です。それを翻訳された方にも苦労は多かったと思いますが、漢字とひらがなで書かれた外国語の域を脱していません。
私は読むのではなく、調べる時代が確定したときの補足資料として使っています。史実の記述に限れば結構詳しい部分もあって、役に立ちます。

廃刊
クララ・シューマン/豊臣秀吉
文・山下喬子、絵・ジアンニ・レンナ(クララ分)
国際版少年少女世界伝記全集17 小学館1982年

下記の集英社のものがアニメ(人物から吹き出しが出て台詞が書かれている)スタイルであるのに対して、こちらは見開きの右側に文章、左側に絵のあるスタイルの書籍です。絵の部分はおそらくイタリアで発刊された本の物が使われ華やかな劇画調になっています。文章部分は下記の集英社の物とは細かい言い回しを含めて90%同一です。編者が異なっていますが、発行年からするとこちらがオリジナルで、集英社の本が転用しているという事になります。いずれの本も原田さんの「真実なる女性 クララ・シューマン」が底本になっていて、人物の台詞の大半は原田さんの訳から採られています。集英社の本と同様に写真を中心とした資料ページがあります。ボックスに入った布張り金箔絵入りハードカバーの極めて豪華な体裁の本です。

廃刊
クララ・シューマン「愛をつらぬいた女性ピアニスト」
集英社版・学習漫画《世界の伝記》
監修・笠間春子、シナリオ・柳川創造、漫画・高瀬直子 集英社1992年

クララの生涯を、実に簡素に、ドラマティックに、そして現代の子供たちに相応しい思いっ切り少女漫画的な絵と、喜怒哀楽の表情に対する純日本漫画的な表現手法により描いている本です。漫画とはいえ歴史的な事実には極めて忠実で、大人にとっても短時間気楽ににクララの生涯をおさらいできる格好の書籍です。漫画以外にも写真、年表、文章による資料が添付されていて、よき入門書になっています。小学生ぐらいまでの娘さんを将来の健全なシューマニアーナ/クラリストに育てるための良きバイブルかも知れません。

回顧録、手紙、日記
クララ・シューマン、ヨハネス・ブラームス、友情の書簡 往復書簡集
原田光子訳著、ダビッド社 1950年

原著はマリエ・シューマンの厚意で公開されたクララとブラームスの書簡を、Berthold Litzmannが編纂して1927年にBreitkopf und Haertel社から発刊した「Clara Schumann - Johannes Brahms, Breife aus den Jahren 1853-1896」です。原田光子さんがこれを生前に邦訳し、光子さんの没後、妹の原田汀子さんが編纂して1950年に発刊されました。原著のタイトル通り、ブラームスがシューマン夫妻を訪問した直後の1853年11月から、ふたりが最後に手紙を交換した、クララが亡くなる直前の1896年5月までの全207通の手紙が掲載されています。
クララは手紙が後生に公開される事を踏まえて、かなりの手紙を破棄しているので、前半はブラームスからクララへの手紙が多く、クララからブラームスへの手紙は数える程しかありません。またローベルトの存命中はブラームスとローベルトの間の手紙も掲載されています。何れにしても三人の歴史を物語る貴重な一次資料なので、再版が望まれます。
この本は極めて入手が難しいです。

廃刊

(表紙)


(扉ページ)

MEMOIRS OF EUGENIE SCHUMANN
Eugenie Schumann 著, Marie Busch 英訳, W. Heinemann (London) 1927
Reprint Edition 1979 / 1986 HYPERION PRESS, INC.(英文)

もしあなたが....

  • クララ・シューマンかヨハネス・ブラームスの人間像に興味があり
  • 既に二冊以上の伝記を読んでその人の人生、偉業の概要を理解されていて
  • 英語(またはドイツ語)の書籍を読んでみようと思う気心をお持ちであれば
次に読むべき本はこれです。クララとブラームス関連の書籍でこれほど「面白い」と思った本は他にありません。この本はクララの四女オイゲニーの回顧録です。オイゲニーが物心付いた頃にはローベルトは既に亡くなって伝説と化していましたので、書面の多くは大好きな母であり偉大なる芸術家の「クララ」と、偉大なる芸術家とは認めつつ、家族の一員としてはやんちゃな「兄であり叔父」であった「ブラームス」の事で占められています。そのクララやブラームスの日常の言動や行動や周りの人々との関わりが、伝聞ではなくオイゲニー自身の体験に基づく明快な言葉で綴られています。「クララが同年代の友人と森の中を散歩していて、行き止まりに突き当たってしまった時に、ふたりで年甲斐もなく柵を乗り越えた」とか「ブラームスが階段の踊り場で逆立ちしたり飛び跳ねたりのアクロバット体操をした」などの、伝記作者にとっては「どうでも良い話」や、クララの実の子供故の伝気作者には知り得ない「貴重な逸話」で埋め尽くされています。またマリエからフェリックスに至るクララの子供たちや、シューマン家を訪れた多くの友人知人達の事も、一人一人写真入りで詳細に語られており、シューマン家の事が本当にリアルに浮かび上がる書籍です。他の伝記では味わうことも知ることも出来ない情報に溢れた素晴らしい資料です。
原著はドイツ語ですが、ドイツ人による英訳なので英文が比較的平易な事に加えて、実に細かいニュアンスまで伝わるような言葉選びがされていて、英語の書籍としては読みやすいものになっています。この本はリプリント版がamazon.comで購入可能です。
ブラームス回想録集〈第3巻〉ブラームスと私
天崎 浩二, 関根 裕子 (訳)、音楽之友社2004

この本は2004年に相次いで発売されたブラームス回想録集の第三巻です。15名の著者による総計800ページにも及ぶ三分冊の回想録集は、人間ブラームスを知る上では超一級の資料です。伝記とは異なり、回想録はブラームスと共に時間を過ごした人が自分の言葉でブラームスを語っているので、伝記作家の解釈によっていつのまにか歪められたブラームス像をブラームスと思っていた私たちに新たな真実を伝えてくれます。
更に他のどの言語の回想録よりも日本語のこの資料が優れている点が、翻訳者の天崎さんによる緻密な考証による原文修正、補完、注釈があることで、出版を意図していなかった原著者の混とんとした文章が時系列、体系的に整理されて、読者に誤解の無い理解をもたらしてくれます。そして何より翻訳を感じさせない自然な日本語が、日本人の読者にブラームスのありのままの情景を伝えてくれます。
この第三巻の第一章が、上にあるオイゲニー・シューマンの回想録の「ブラームス」の章の翻訳なのです。クララの娘としてシューマン家の中で暮し、ブラームスから直々にピアノレッスンを受けたオイゲニーによる、ありのまま、生き生きとしたクララとブラームス像がふたりが最後に会った日まで語られています。

ローベルト&クラーラ・シューマン「愛の手紙」
ハンス=ヨーゼフ・オルタイル編、喜多尾道冬・荒木詳二・須磨一彦訳
国際文化出版社 1986年

1832年から1855年までの287編の手紙を収録しています。翻訳者の日本語選択以外の一切の解釈の入っていないありのままの記録は、クララとローベルトの心の内をそのままに伝えてくれます。これを読めば「私もこの様な恋をしたい!」とか「こんな風に愛されたい!」と思うことは必至。音楽史に輝く愛の証拠です。残念ながら廃刊です。

廃刊
The Marriage Diaries of Robert & Clara Schumann   From their Wedding Day Through the Russia Trip
Gerd Nauhaus (編), Peter Ostwald (英訳), Northeastern University Press 1993

文字通り結婚の日からロシア演奏旅行までの日記で、結婚の翌日でクララ21歳の誕生日である1840年9月13日から、1844年3月31日までの夫妻の交換日記、そしてローベルトによって書かれたRussian Customs, Poems from Moscowと題された文章が掲載されています。合計416ページのハードカバーの本です。
オリジナルはドイツ語で、1836年からローベルトが入院する1854年までの日記が掲載されていますが、英語翻訳にあたっては一部分しか発刊されなかったようで残念です。日記は貴重な一次資料なので、英語版があれば全部買うのですけど...

Clara Schumann "MEIN LIEBES JULCHEN"
おばあちゃんからの手紙〜クラーラ・シューマンから孫娘ユーリエへ
ディーツ=リューディガー・モーザ編 伊藤はに子訳 春秋社 2000年

クララの三男フェルディナンドの娘であり、クララの初孫であった「ユーリエ」。この本は1888年2月から死の年の1896年3月までのクララから孫娘ユーリエに宛てた49通の手紙と、1891年から1897年までのユーリエの269編の日記が含まれています。この本の手紙の中に現れるクララは19世紀最高のピアニストであり偉大なる作曲家の妻の「クララ・シューマン」ではありません。ひとりの孫に愛情と教育的助言を注ぐ「おばあちゃん」です。一方のユーリエの日記には赤裸々な乙女心の内面と(私たちが偉人として仰ぎ見るようにではなく)普通の家族や隣人としてのブラームス、ヨアヒム、そしてクララ・シューマンの生活の実像が描かれています。他の伝記とは全く異なる晩年のクララとその周りの人達の日常をリアルに感じることの出来る書物です。
この本は個人的な手紙と日記という、他人に読まれることを前提としてない文章の集合体ですから、クララとその家族の基礎知識を持っていないと支離滅裂かも知れません。事前に原田さんの伝記を読まれることをお勧めします。

評論
女性作曲家列伝
小林緑編著(クララの項は玉川裕子著)、平凡社 1999年

女性作曲家はクララに限らず時代の陰に忘れ去られてきていますが、彼女たちを現代に少しでも多く紹介しようとする本がこの「女性作曲家列伝」です。15人の外国女性作曲家と、6人の日本人女性作曲家が記述されています。クララに割り当てられたページは20ページ。従って知り得る事も限られますが、まずは女性作曲家にどの様な人がいて、どの様な人生を歩んだのかを知るには格好の書籍です。この書籍でしか日本語では知ることの出来ない作曲家が殆どです。

掲載作曲家;バルバラ・ストロッツィ、エリザベート=クロード・ジャケ=ド・ラ・ゲール、マリアンネ・マルティネス、ルイーズ・デュモン=ファランク、ファニー・メンデルスゾーン=ヘンセル、クララ・ヴィーク=シューマン、ポリーヌ・ガルシア=ヴィアルド、オギュスタ・オルメス、アガーテ・バッカー=グレンダール、エセル・スマイス、セシル・シャミナード、エイミー・チェニー=ビーチ、アルマ・シントラー=マーラー、ジェルメーヌ・タイユフェール、リリ・プランジェ、幸田延、松島彝(つね)、金井喜久子、吉田隆子、外山道子、渡鏡子

音楽史の中の女たち 「なぜ女流作曲家は生まれなかったのか」
エヴァ・リーガー著、石井栄子/香川檀/秦由紀子 訳、思索社 1985

タイトルの通り「なぜ女流作曲家は生まれなかったのか」という時代考証を、全五章に渡って記述した本で、その第三章が男性社会の中で数少ない作曲の功績を残した5名の女性について記述しています。クララはその冒頭に22ページにわたって書かれていますが、女性として社会から、そして夫から作曲についてどれだけ抵抗に遭ったかという点に絞って書かれているので、客観的な資料にはなっていません。それに高々22ページなので、クララの人生に関する内容は殆ど何もありません。
表紙は有名なピアノに向かう晩年のクララの写真です。

ピアノ音楽誌「ショパン」2001年6月号掲載
連載<音楽史を彩る女性たち>第12回 クララ・シューマン・萩谷由喜子著

8ページにわたり、クララについて幅広い視点から簡潔に語られた小論です。史実の記述は正確で、またクララ、ローベルト、ヨハネスを語る口調もとても気持ちの良い物です。思わず私のHPに全文掲載したくなりました(笑)。雑誌なので次号が発売になれば廃刊ですが、恐らく雑誌社の方にバックナンバーがあると思います。
文章中の小見出しをご紹介しておきましょう。視点の幅広さが伺えます。
「クララに先んじた母マリアンネ」「父フリードリッヒ・ヴィークの功罪」「ロベルト・シューマンとの日々」「作曲家としてのクララ・シューマン」「ブラームスの登場とロベルトの最期」「ピアニスト、クララ・シューマン」「クララとブラームス」

五線譜の薔薇
萩谷由喜子著、ショパン、2002年

上記のクララの小論は、同じくショパンの『音楽史を彩る女性たち』に掲載された他の11名の女性の物語と共に単行本として発刊されました。「女性作曲家列伝」と並んで、主な女性作曲家の人生のアウトラインを知る格好の資料になっています。
個人的な評価ですが、「五線譜の薔薇」というタイトルは星の数ほどもある音楽書籍の中でも飛び抜けて秀逸ですね♪

掲載作曲家:クララ・シューマン、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ジョルジュ・サンド、エディット・ピアフ、マリア・アンナ・モーツァルト、アルマ・マーラー、マルグリット・ロン、マリア・カラス、サラ・ベルナール、ジュゼッピーナ・ストレッポーニ、ファニー・メンデルスゾーン、ワンダ・ランドフスカ

なお、続編として「音楽史を彩る女性たち 五線譜のばら2」(←今回はバラがひらがな)も出版されています。掲載された女性は以下の13名です。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、フランチェスカ・カッチーニ、マリア・テレジア・フォン・パラディス、マリー・ブレイエル、コージマ・ワーグナー、オーギュスタ・オルメス、アンナ・パヴロア、ココ・シャネル、ナディア&リリー・ブーランジェ姉妹、クララ・ハスキル、マレーネ・ディートリッヒ、ジョセフィン・ベーカー

ピアノ音楽誌「CHOPIN」2006年4月号掲載
クララ・シューマン、その光と影 〜没後110年〜 萩谷由喜子著

今回の萩谷さんの著作は、クララの没後110年を記念して、ピアノ愛好家の方にクララの「曲」とその背景にある「人生や関係した人々」を知ってもらう為に書かれた「クララガイド」です。最初のページが100マルク札にも使われているクララの美しい肖像画で、一ページ丸々余白無しでクララの肖像だけに使っています。この大きな肖像画は読者に大きな「印象」を与えると思います。そして3ページを割いて「クララ・シューマンの生涯と作品」と題したコンパクトな伝記と年表を掲載し、2ページを割いて「クララをめぐる人物相関図」と題してシューマン、ブラームス、メンデルスゾーンを初めとする29名のクララと関係の深い人物を紹介しています。最後の1ページにはクララの主なCDと楽譜が紹介してあります。これを読んだ人はきっとクララに興味を惹くでしょうね♪

歴史をつくる女たち6「妻の名のもとに」
第1章「天才ピアニストにして、シューマンの良き妻、クララ・シューマン」
船山隆(クララの項の著者)、集英社、1983年

歴史上の女性偉人の概要をコンパクトに解説する、全8巻からなる「歴史をつくる女たち」シリーズの第6巻です。この本にはクララ・シューマンの他、マリー・キュリー、ゼルダ・フィッツジェラルド、エリノア・ルーズヴェルト、コジマ・ワーグナー、フリーダ・ロレンス、アンナ・ドスエフスカヤ、アルマ・マーラー=ヴェルフェルが掲載されています。
クララの項は全部で30ページしかなく、従ってその人生全体を語る事は避けられていて、多くの書籍の文章を参照しながら、シューマン最晩年のデュッセルドルフ時代と、シューマン没後のピアニストとしての時代に焦点を絞って語られています。この本の著者の意図は、女性の理想像として当時奉られていたクララが、実は母としては冷酷だったという「影」の部分を浮かび上がらせて、人間像クララを読者に知らしめる点にあります。ナンシー・B・ライクの著書にそのあたりの事も書かれているので私には新鮮味がありませんでしたが、この本の発行年はライクの本の2年前なので、当時は新鮮だったと思います。
細やかな点で史実の記述に誤りが散見されますが、発行年と、如何にも短期間で書かれたと思わせる文体を見ると仕方ないかも知れません。

廃刊
(音現ブックス7)ブラームスの世界
芸術現代社 1982年

ブラームスについて様々な視点からの小論をまとめた書籍です。この中に「クララ・シューマンとブラームス(藤田晴子著)」という章があり、ブラームスにとってのクララ・シューマンの位置づけの大きさを、Litzmann編纂によるふたりの往復書簡集を参考にしながら語られています。全部で6ページほどの小論です。

廃刊
クララ・シューマン −愛と悲しみの調べ− 桜沢如一著 日本CI協会 1979年

この書籍は、「クララ・シューマン ジャン・G・オサワ著 コンパ出版 1948年」と同一のもので、ジャン・G・オサワは桜沢氏の海外でのペンネームです。
桜沢氏は日本におけるマクロビオティック(辞書では長寿食事法)の提唱者、食養指導家・思想家です。この本は氏が原田光子さんの「真実なる女性 クララ・シューマン」の初版本を読んで感激して執筆したものですが、執筆目的はクララ及びその周辺の人々の生き様を題材として、生活心得、食事法、人生論に関する氏の教えを説く物になっています。クララの人生の記述は非常に短く、捉え方は断片的で、史実の誤解間違いも数多いです。またクララよりも説教や世相批判に多くの紙面が割かれている為に、原田さんの文章とは対照的に言葉が攻撃的で、心地よい読み物にはなっていません。クララの資料としての価値は皆無です。 
一つ面白い点は、父フリードリッヒ・ヴィークの事を褒め称えて4章もの紙面を割いている事です。クララが世界的なピアニストになれたものヴィークの正しい人生観に基づく厳しいしつけと、自ら進んで憎まれ役を引き受けた為だとしています。しかしヴィーク父さんの人生を調べ掘り下げた訳ではなく、あくまで原田さんの本の記述だけに基づいていますので、ヴィーク父さんの事をより深く知ることは出来ません。 

廃刊
その他の資料
Clara Schumann 1819-1896, Chronik in Bildern
Heinrich-Heine-Instutute, Dusseldorf 1996(ドイツ語)

クララの年代記です。全編モノクロ印刷ですが、クララの簡単な年表と、その年に関連した実に多くの写真、イラスト、スケッチが掲載されています。全48ページの目で楽しめる貴重な資料になっています。ツヴァイカウのシューマンハウスで僅か4ユーロで購入出来るそうです。私は古書をその10倍の値段で購入しましたが(^^;

Briefe und Dokumente im Schumannhaus Bonn-Endenich
Bonn 1993(ドイツ語)

エンデニッヒに所蔵されているシューマン夫妻の手紙や楽譜の資料集です。各資料をドイツ語の活字で紹介し、後半部分には手紙や楽譜の写真が掲載されています。エンデニッヒのシューマンハウスの他、ツヴァイカウのシューマンハウスでも購入出来ます。価格は6ユーロ。

Robert-Schumann-Haus Zwickau
Saechsische Landesstelle fur Museumswesen und Deutscher Kunstverlag GmbH Munchen Berlin 2000(ドイツ語)

ツヴァイカウにあるローベルト・シューマン・ハウスの所蔵品をカラーで紹介しているガイドブックです。シューマン夫妻のゆかりの品を目で楽しめる貴重な資料になっています。この87ページにはクララ愛用のピアノと一緒に、クララのとても美しく描かれた幻の肖像画が小さく載っています(右)。この肖像画は他では全く印刷されていません。是非大きな絵を見てみたいものです。

クララ・シューマン ピアノ曲集(楽譜)
森潤子・校訂&解説 音楽之友社 1988年

これは楽譜集ですが、巻頭、各々の曲のタイトル部分、そして巻末に簡単な解説が載っています。収録されている個々の曲の背景を知るには良い資料です。但し残念ながら廃刊のようです。

収録曲;4つのポロネーズ作品1から第一曲、四つの特色ある小品から第一曲と第三曲、音楽夜会作品6から第五曲マズルカ、三つのロマンス作品11から第二曲、四つの束の間の小品作品15から第一曲と第二曲、三つのプレリュードとフーガ作品16から第二曲、ロベルト・シューマンの主題による変奏曲作品20、三つのロマンス作品21から第一曲、第三曲、ロマンス・イ短調(作品番号無し)、ロマンス・ロ短調(作品番号無し)

廃刊
Pupils of Clara Schumann (CD) の解説書(英文)
Jerrold Northrop Moore著

Pupilは弟子のこと。この6枚組みのCDにはクララの愛弟子であるFanny Davies, Adelina de Lara, Ilona Eibenschutz、そしてヨハネスブラームス自身の演奏が収録されています。その解説書がまた良きクララの資料となっています。クララが弟子たちに語った言葉と、クララの演奏する姿が、弟子たち自身、或いは同時代に生きた人達の言葉として生き生きと記述されています。
芸術性高き美しさにおいて当時並ぶものの無かったクララのピアノ演奏と、その背景にあるクララの演奏哲学を、文字と音の両面から私たちに伝えてくれるCD集です。日本の代理店は東京エムプラスです。既に廃盤ですが、ひょっとしたら代理店在庫がまだ有るかも知れません。
レーベル;Pearl、CD番号;GEMM CDS 99049

廃盤

(表紙)

(裏表紙)
映画「愛の調べ」のパンフレット 東京出版社 1949年2月1日発行
(1984年復刻 松竹/東宝/ヘラルド・エンタープライズ)

私の持っているこのパンフレットは、日比谷映画劇場が1949年2月1日から21日まで「愛の調べ」をロードショー上映した時の物を、1984年に完全復刻した物です。復刻にあたっては原本となったパンフレットのシミ、汚れ、破れまで忠実に印刷で再現されています。
愛の調べはモノクロ映画ですが、パンフレットの表紙と裏表紙だけはカラーで印刷され、主演のキャサリン・ヘップバーンの着用していた衣装の色がここに蘇っています。
「哀愁のトロイメライ」のパンフレットとは異なり、こちらは資料的に極めて貴重な物です。「愛の調べ」は多くの脚色を交えながら、本質において「シューマン夫妻」を正しく描いた物ですが、パンフレットには脚色も間違いも殆ど無く、歴史と映画の内容を正しく伝えています。その目次と執筆者をご紹介しましょう。

  • SONG of LOVE - ROAD SHOW 1. FEB. 1949:執筆者不明 (映画の製作背景説明)
  • 配役物語:執筆者不明 (映画の内容説明)
  • シューマン夫妻:小松耕輔(ローベルトの歴史)
  • 鑑賞講座「愛の調べ」:南部佳之助
  • キャサリン・ヘップバーン:淀川長治
  • クラレンス・ブラウン:双葉十三郎
  • クララ♪ロバァト♪ヨハネス♪:岡俊雄(三人の概歴と映画中の演奏曲目の解説)
  • Hibiya Theatre News No.546 1st-21st FEB:水島良成(上映の案内)
これらの内容を書き出すと、HPが数ページ出来てしまう程盛沢山なので割愛しますが、一つだけどうしても書いておきたい事があります。岡俊雄さんの解説を読んでいて「あっ!」と思ったのですが、原題のSong of Loveの「Song」とは「献呈」の事です。「献呈」こそがローベルトの「愛の歌」であり、この映画の全編を貫いているのです。
廃刊
映画「哀愁のトロイメライ」のパンフレット
大映インターナショナルフィルム 1985年

映画制作の背景、映画のストーリー、出演者紹介、主演のナスターシャ・キンスキーの演技評、そしてシューマン夫妻の簡単な生涯の紹介が写真入りで掲載されています。しかし資料的価値はありません。理由は映画のストーリーが厳密には史実とは異なる為です。だからここに書かれた映画のストーリーを読んでシューマン夫妻の歴史だと思うと誤解することになります。シューマン夫妻の生涯を記述した部分はもっとひどく、恐らくシューマンの事を知らない人が書いたのでしょう、間違いが多数あります。見出しからして「1838年夏、結婚裁判に勝って、ローベルト・シューマンとクララは結婚した」とあります。事実は、訴訟をおこしたのが1839年7月16日、判決の下りたのが1840年8月12日、結婚は1840年9月12日です。

廃刊

上記以外にもローベルト・シューマン、ヨハネス・ブラームス関係の書籍もクララを知る上では良き資料になります。
 
 
 

番外編
(クララの資料ではなく、書籍の成り立ちにクララが関連したもの)
NEUES EINFACHES

KOCHBUCH

FUR
BURGERLICHE HAUSHALTUNGEN
UND
BURGERLICHER KUCHENZETTEL
FUR HAUSFRAUEN DES MITTELSTANDES

AUS DEM GEBRAUCH VON

CLARA SCHUMANN

Reprint hach dem Originalexamplar im Robert Schumann Haus Zwickau 2000

クララの料理ブックです。ドイツ語が読めないので100%確実ではありませんが、クララの料理のレシピ集です。ツヴァイカウのシューマンハウスで購入する事が出来ます。内容は全部活字によるレシピです。どなたかクララの手料理を再現してみますか?


タイトルを日本語訳すると、「クララ・シューマンのベルリン花日記 1857-1859」。わくわくするタイトルですが、残念ながらクララ自身の日記ではなく、Renate Hofmannという人が3年間にわたりクララのことを綴った日記だそうです。(全てドイツ語なので私には判らないのですが(^^;)

この本は皆さんの想像を絶する美しさを持っています。各日記には押し花が添えられ、その押し花を、あたかも本当にそこにあるかのように精巧、かつ忠実に印刷で再現しているのです(この文章を書くために本を開いていたら、娘が「これ、本物?」と言って花のページを指で撫でたほどです)。押し花のページの裏もまた、押し花の「裏側」が再現されたページになっており、押し花日記が完全な形で再現されています。
ドイツ語の判らない私にとって、この本から判ることは何もありません。ただ、美しい押し花たちと、日記に頻繁に現われる「Clara Schumann」の文字が私を幸せにしてくれます。

この本は海外発注すれば購入できると思います。私はヤマハから航空便で海外発注し、7500円+航空運賃+税で、約1万円の代金を支払いました。
Das Berliner Blumentagebuch der Clara Schumann 1857 - 1859
Breitkopf & Hartel (もちろん、Hartelのaにはウムラウトが付きます)


(本の扉ページです)
Jugendbriefe von Robert Schumann
Clara Schumann 著
Leipzig, Druck und Berlag von Breitkopf und Haertel, 1886年
(ドイツ語)
 
ローベルトの若き日の手紙を、クララが編纂し、存命中の1886年に出版された本です。1827年7月から1840年5月31日までのローベルトが出状した手紙が315ページにわたり収録されています。さらりと見た限りでは(ドイツ語は読めません。おまけに活字が古いタイプでアルファベットの解読もままならず..)ローベルトが出状した手紙のみで、ローベルト宛の手紙は有りません。私の持っているものは初版第2刷で、残念ながら第1刷ではありません。クララによる前書きには1885年10月の日付が添えられており、いずれにしても初版直後に増刷された本の様です。
既に発刊から116年が経過していますが、湿度の少ないアメリカで過ごした為か、かなり程度はよく、ページの変色、変質なども僅かです。

米国のインターネット古書店にて入手しました。もちろん廃刊です。

本の外観。背表紙には「Schumann」
と金文字で書かれています。
扉ページの中段、クララの
名前の部分拡大
扉ページの下段
出版社と出版年
若き日の手紙
シューマン(著)、堀内明(訳)、音楽文庫1957

上記のクララが編纂したJugendbriefeを堀内さんが邦訳した貴重な書籍です。現在は入手が極めて困難です。

廃刊
Piano and Song (Didactic and Polemical) by Friedrich Wieck
The Collected Writings of Clara Schumann's Father and Only Teacher
Transrated, Edited and Annotated by Henry Pleasants
Pendragon Press 1988(英文)

クララを一流のピアニストに育て上げた、歴史上唯一のクララの先生である父、フリードリッヒ・ヴィークによる、ピアノ教授法の秘伝集(?)です。伝記の中でクララが歌を習わされたとあるように、歌とピアノ演奏のつながりを強く意識した内容になっています。クララのピアニズムの秘密がここに書かれている、と思っても良いでしょう。


 

番外編その2
真実なる女性 クララ・シューマン発刊時の評論
原田光子さんの「真実なる女性 クララ・シューマン」に対して、50年も前に3名の方々が素敵な感想文を残されています。1950年頃のダヴィッド社の月報「DAVID CHRONICLE」の中の「クララ・シューマン」によせて・・・という特集に掲載された物です。クラリスト3号さんから情報を頂きました。
 

富本陶 教授

「あの晩はおさらいも止めてクララに取り付かれてしまいました。この著書でなければ、あれだけ美しい立派な女性クララを私達に感じさせられなかった事と心から感謝と喜びを申し上げます。
シューマンのこと、ブラームスのこと、はっきりした性格が一人づつの傳記を讀んでも分からなかったのですが、クララを通して不思議に理解されました。
この本を読む全ての人たちのあこがれの女性になるでしょう・・・。クララの身も心も共にあこがれてしまいました。そしてどんなにか、美しい音のピアノだったのかしらと、頭の中で想像できる様な美しい音が耳に聞こえてまいります。
どれだけ沢山の人達がこの本によって、自分達の生活を立派に生き抜きたいと言う願望に燃えるかしれません・・・。」
 

作家 川上喜久子先生

「眞實なる女性クララ・シューマン」の生涯はキューリ夫人のそれともまた違った意味で私たちの心をうつ。クララは美しいゆたかな音楽の花園の中に。世にも尊い旋律をひとすぢに貫かせつつ七十七年の一生を了へた。その花園の中には、パガニニ、ゲーテ、ショパン、リスト、メンデルスゾーン、ハイネ、ワグナー、アンデルセン、ヨアヒム、ブラームス、等の世界人物が咲きだして讀者をよろこばせる。中でも楽聖シューマンとの永遠に結ばれた愛情はもとより、晩年の友ブラームスが彼女を愛しつつ、一生娶らずに了つた生涯など、誠に興味深い。
ほんたうによい本を世に與へて下さったと感謝してゐる。 
こんな誰にも安心して推奨出来る類の本はめったにない。一讀後、實に様々なことを考えたが、今は何もいはず、人々にただ讀んで下さいとお勧めする・・・。」
 
 

作家 山根 銀二先生

「これは全く素晴らしいし讀物だ。クララ・シューマンの正體を描いて剰すところがない。
材料は極めて豊富で洗練されてゐる。これだけ色々な内容を纒まりよく整理し敍述する業は人並みのことではない。此の書には女性の繊細な感情が溢れている・・・。」



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