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Clara Schumann
Piano Concerto, Piano Trio,
3 Romances
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Veronica Jochum (Pf)Jozeph Silverstein
(指揮、Vn), Colin Carr (Vc), Bamberger Symphoniker
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レーベル;TUDOR(オーストリー) |
入手性;廃盤 |
CD番号;TUDOR 788 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;1988年1月6-8日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★ |
収録時間;57分58秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ピアノ協奏曲 作品7
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ピアノ三重奏曲 作品17
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ヴァイオリンとピアノの為の3つのロマンス 作品22
コメント
一枚でクララの作品番号付の協奏曲と室内楽のすべてが手に入る、貴重なカップリングのCDです。オイゲン・ヨッフムのご令嬢であるヴェロニカ嬢はクララがお気に入りの様で、このCDを含めて3枚も録音しています。しかもすべてが高水準の演奏なので、嬉しくなります。クララの室内楽のCDとして、私が初めて入手したものです。
ピアノ協奏曲作品7はクララが弱冠13〜16才の時に作曲され、18才の時に出版された作品です。11才のときに出会ったショパンの影響を色濃く受けた曲で、全体的な雰囲気はショパンのピアノ協奏曲第一番に良く似ています。彼女の初オーケストレーション作品ですから、その完成度に難癖をつけることは容易ですが、一方で独創的な楽想も発見できます。それが第二楽章後半で、ピアノ協奏曲であるにも拘わらず独奏チェロが主役を務め、ピアノが控え目な伴奏を務めるのです。ここの部分の美しさはひとしおで、上質なチェロソナタを聴いている錯覚に陥ります。この独創的な楽想はブラームスがピアノ協奏曲第二番作品83の第三楽章前半で用いています(但し伴奏はピアノではなく、オーケストラ)。
演奏は比較的テンポが良く、オーケストラとの絡み合いも素敵で、聴いていて飽きません。未だに杉谷昭子さんと並ぶ優れた演奏だと思います。
ピアノ三重奏曲はクララの中でも最も雄大な曲ですが、しかし繊細さやデリケートさ、優しい響きも散りばめられています。このCDの演奏は高水準で大きな不満はありません。ただこのCD以後、Gelius
TrioやABEGG Trioと言った超名盤が現れましたので、多少影が薄くなりました。二つの超名盤の演奏と比べると、ピアノが他の二つの楽器よりも存在感が強く、全体的に推進力優先で弾くが故にか、ヴァイオリンの妖艶な音色、響きが不足しているようで、やや淡白な弦楽器演奏と言えます。
ピアノとヴァイオリンの為の3つのロマンスの特質はメロディや和音が極めて柔らかく、美しいことです。私の大のお気に入りの曲で、Boschi盤以後、大量の作品22を収集してしまいました。ただ、最近はGelius
Trioの方を聴くことが多くなりました。このCDの演奏はピアノ三重奏曲同様に、やや淡白なヴァイオリンと元気の良いピアノが、ぐいぐい進む感じがして、Gelius
Trio盤のようなクララとローベルトの甘い語り合い、という雰囲気は希薄です。
このCDも発売されてから時間が経っているため、海外でも殆ど見かけなくなりました。多分、廃盤になったと思われます。
Updated in September 2001
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