ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|
Chamber Works by Women Composers
|
Donald Betts (Pf), Joseph Roche (Vn), Camilla
Heller (Vc), etc.
|
レーベル;VoxBox(アメリカ) |
入手性;廃盤 |
CD番号;CDX 5029(二枚組み) |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;不明 録音;ADD |
資料的貴重度;★★★★★ |
収録時間;141分14秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
-
Clara Schumann, Trio for Piano, Violin and Cello in G minor Op. 17
-
Amy Beach, Trio for Piano, Violin and Cello Op. 150
-
Germaine Tailleferre, Sonata for Violin and Piano in C# minor
-
Lili Boulanger, Nocturne, Cortege
-
Fanny Mendelssohn-Hensel, Trio for Piano, Violin and Cello in D minor Op.
11
-
Teresa Carreno, String Quartet in B minor
-
Cecile Chaminade, Trio for Piano, Violin and Cello No. 1 in G minor Op.
11
コメント
19世紀から20世紀前半に活躍した(あるいは能力が有りながら女性ということで活躍が制限された)女性作曲家による室内楽を集めたCDです。クララとファニー・メンデルスゾーンのピアノトリオを除けば、殆ど他では聴くことの出来ない曲ばかりで、資料的にも貴重です。CDショップの店頭では二枚組みで1500円程度で販売されていました。ただ最近は国内のショップで見かけることが無くなりました。しかし海外では現行盤です。恐らく再プレスされたのでしょう、2001年9月現在Amazon.comとCD
Universeで発売中です。ぜひ入手してください。海外での価格はスーパーバジェットなので、2枚でバジェット1枚分です。
クララのピアノトリオは、テンポを比較的ゆったりと取り、ここの音符の存在を明瞭にした、丁寧な演奏です。録音が古く音質もそれなりで、ヴァイオリンの響きも少し乾いた感じですが、音楽はまずまずです。
1867年生アメリカ生まれで、300以上の曲を残したエイミー・ビーチのピアノトリオは、一聴すると近代フランス的な、不協和音を伴ったスケールの大きな幻想的な曲です。この曲がたまらなく好き、という人がいても不思議はないですね。私自身は現代曲的な響きをもった曲をあまり聴きませんが、傍目(耳)にこの曲の雄大さと和声の確かさは印象的です。彼女の伝記を読んで笑ったのが、母の名前がクララと言って、(我がクララにとってのヴィークのように)ステージを取り仕切る熱血ママだったそうです。
1892年パリ郊外で生まれ、1983年まで生きたジェルメーヌ・タイユフェールのヴァイオリンソナタは、正真正銘の近代フランス的な響きを持つ曲で、ドビュッシーとサティのを足した様なメロディ。なかなかに妖しい音楽です。
リリ・ブランジェ1893年にフランスで生まれ、1918年、24才という若さで無くなりました。ここに収録されているノクチュルノはリリの初出版曲。緩やかにフランス的な響きの中に優しさと妖しさが同居して、結構な名曲だと思います。コルテージは一転してコミカルな民謡的な響きをもった曲。
二枚目の冒頭はまたドイツの作曲家に戻って、御存知、我が愛しの(笑)ファニー・メンデルスゾーンのトリオです。このCDの演奏はクララのトリオとは異なり、テンポを標準からやや速めに採って、弦楽器の鳴らせ方も色気があり、なかなかの好演だと思います。多分録音がクララよりも新しいのでしょうか?(データはありません)、ピアノ、弦楽器の音色共にクララのトリオよりも聴きやすく、それだけ音楽も魅力的に響いています。
テレサ・カレーニョ(と発音するのでしょうか?)は1853年にベレズエラで生まれ、アメリカに移住した作曲家。その弦楽四重奏曲はドイツロマン派の音楽に近いものがあります。やや近代的な響きを持つものの、バロック的な穏やかさも同居していて、構成的には古典的な文法に従った比較的聴きやすい音楽です。
セシル・シャミナードは1857年にパリで生まれ、1944年に亡くなるまでに400近い曲を残した作曲家。ここに収録されているピアノトリオは、フランス的な香りはあるものの、ドイツロマン派的な素直な(?)和音とメロディもあって、カレーニョの弦楽四重奏曲同様に聴きやすい音楽です。フランス嫌いの私も、思わずうっとり聴き入ってしまいます。
こうして聴き通すとかなり味わい深いCDです。クララのトリオの演奏が一番こなれていない感じがするのがクラリストとして残念ではありますが、このCDに展開される殆ど知られていない女性作曲家の世界は、忘れ去られるのが不当なチャーミングな空間です。
Updated in September 2001
ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|