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ROMANTIC MELODIES
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仲道郁代 (ピアノ)
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レーベル;BMG Japan(日本) |
入手性;国内現行盤 |
CD番号;BVCC-34011 |
お気に入り度;★★★★★ |
録音年月日;1998/10/31-11/3 録音;DDD |
資料的貴重度;★★ |
収録時間;72分40秒 |
音質 ;★★★★★ |
収録曲
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ファニー・メンデルスゾーン メロディ ロ短調 作品5-1
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ローベルト・シューマン アベッグ変奏曲 作品1
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ローベルト・シューマン パピヨン 作品2
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ファニー・メンデルスゾーン ノットゥルノ ト短調(1828)
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フランツ・シューベルト 即興曲 変ロ長調 D935-3
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ヨハネス・ブラームス ロマンツェ ヘ長調 作品118-5
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クララ・シューマン ロマンツェ イ短調
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フェリックス・メンデルスゾーン 厳格な変奏曲 作品54
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ヨハネス・ブラームス インテルメッツォ 作品118-2
コメント
一枚のCDによるコンサートとして捉えた場合、これほど素晴らしいCDは他にないと思います。オムニバス盤としての選曲の素晴らしさ、配置の素晴らしさ、演奏の素晴らしさはちょっと他に比べられる物が思いつきません。
冒頭のファニーの作品5の第一曲、メロディは、これから始まる例えようも無く美しさと嫋やかさに満ちたコンサートを見事に暗示しているし、最初のメインディッシュであるローベルトのアベッグ変奏曲作品1の、キラキラとした光り輝くような演奏は数あるこの曲の録音の中でも孤高の存在といえるほど。素晴らしきメインディッシュの曲達を挟んだファニーの二曲、ブラームスの二曲が実によいコンサートの節目となっていて、全体をエレガントに引き締めています。
いや、このCDの孤高の存在感は、節目の役割をする4曲...ファニーのメロディ、ノットゥルノ、そしてブラームスのOp.118-5とOP.118-2の奇跡とも言える名演にあります。
ファニーも大好きな私はここに収録された2曲を録音したCDを複数持っていますが、仲道さんほどに嫋やかに、美しく、キラキラとした音色で弾いたピアニストはいません。ファニーの曲はクララ以上に国内盤で聴くことは困難です。そしてファニーの曲を初めて聴いた人はその美しさ、優しさに感銘を受けるでしょう〜仲道さんのこの名演の手を借りずとも。しかし、このCDを聴けば、その「感銘」は「驚愕」に変わるはずです。
ブラームスの作品118の2曲、これは奇跡の演奏、魂の奏でる音楽としか言いようがありません。見事なまでのレガートを伴った優しく美しいキータッチで、嫋やかな心の持ち主だけが為しえる、心の奥から湧き出る繊細なリズムによって、ブラームスの後期ピアノ曲の名曲中の名曲を弾かれています。とりわけ作品118-2はこれまでに出会った如何なる演奏よりも「美しい」と思えるもの。この作品118-2から片時も離れ難くて、出張のときには常に持って行くCDです。東京、大阪、デトロイト、シンガポール、デュッセルドルフ、フランクフルト、ミラノ、プレトリア。このCDと共に訪れた都市達です。そしてフランクフルト空港の待合室で作品118-2を聴いたとき、涙が込み上げてきたことは忘れられない想い出です。
残念なのはクララのロマンツェ(ロマンス)の演奏。クララの曲を本気で演奏させたら、仲道さんの右に出るピアニストはこの世にいないと個人的に信じていますが、このCDでのクララの扱いはちょっと他の曲よりも低く、演奏もあまりこなれていません。仲道さん自身もライナーノーツの中で、「クララの作品を自分のレパートリーとして弾くことは無いでしょう」と語っており、非常に残念です。このCDのお気に入り度は満点なのですが、クララの演奏を基準とすると太鼓判は見送らざるをえません。
2001年9月現在このCDはもちろん国内現役盤で、店頭で買えます。
Updated in September 2001
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