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Clara & Robert Schumann
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ABEGG TRIO
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レーベル;TACET(ドイツ) |
入手性;輸入現行盤 |
CD番号;TACET 61 |
お気に入り度;★★★★★ |
録音年月日;1997年 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★ |
収録時間;64分12秒 |
音質 ;★★★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン クララ・ヴィークの主題による即興曲 作品5 (Friedrich
Hermannによるピアノトリオ編曲版)
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ローベルト・シューマン ヴァイオリンソナタ第一番 作品105 (Friedrich
Gustav Jansenによるピアノトリオ編曲版)
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クララ・シューマン ピアノトリオ 作品17
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ローベルト・シューマン 暁の歌 作品133 第一曲 (Armin Knabによるピアノトリオ編曲版)
コメント
これは凄いCDです。クララのピアノトリオはごく普通の秀演(!)ですが、ローベルトの三曲は本当に素晴らしいのです!シューマニアーナなら、是非入手して、聴いて欲しいCDです。
第一曲目のクララ・ヴィークの主題による即興曲作品5....普段はピアノの左手がゆっくりと奏でる冒頭主題をチェロが、ゆったりと、情感こめて、朗々と歌う...このひとフレーズだけで、もう曲に引き込まれてしまいます。が、しかし...それに続くこの曲の主題、クララの作品3のメロディを何とヴァイオリンが、優しく、女性の声のような雰囲気で歌い上げる。まるでローベルトとクララの会話が目に浮かぶような楽器選択と編曲の素晴らしさは、それを形容する言葉が思いつきません。以前n'Guinさんが「ローベルトの作品5の良さはピアノトリオでないと分りにくい」と言うような主旨の発言を掲示板上でされていましたが、このCDを入手してそれがはっきりと理解できました。16分程の演奏時間があっという間に過ぎ去ってしまう名曲の名編曲の名演です。
第二曲目のヴァイオリンソナタ作品105は、もともとの楽器編成に対してチェロが加わっただけなので、第一曲目の作品5に比べれば変化感は少ないです。しかしそれでも今まで聴き慣れた作品105とは違う響きを随所に聴くことが出来て、新しい発見に満ちた演奏です。チェロの追加により音の重心が下がり、全体的に芳醇かつ華やかな演奏になっていると思います。
第三曲目のクララのピアノトリオは、情熱ほとばしる名演と言えますが、前二曲を聴いた後の私にはちょっと物足りない??いつも聴いているトリオからの変化がない!しかし一般的な人はクララのピアノトリオを殆ど聴いたことが無いでしょうから、何等編曲されていないクララのトリオでも新鮮な響きに満ちているのかも知れません。確かに有名作曲家のピアノトリオの後に聴くクララのトリオは優しい新鮮な響きに溢れており、聴衆に新鮮な響きを提供するというこのCDの狙いからすれば、狙い通りの選曲と言えましょう。産まれてから今までに100回ピアノトリオを聴いたことが有るとすれば、そのうちの70回はクララのトリオを聴いてきた私の耳が異常なのでしょう(笑)。
今改めてABEGG TRIOによるクララのトリオを聴き直してみました。凄い演奏です。チェロは芳醇、ヴァイオリンは妖艶、ピアノは優しくサポート、という雰囲気の中で三者一丸となってグイグイと演奏が進んで行きます。このトリオの演奏は凄い!
第四曲目の暁の歌は、原曲通りピアノが冒頭主題を奏でます。それで聴衆は「ああ、あの曲か..」という安堵感に浸ります。しかし、そのすぐ後にチェロが主題を受けて演奏を始める。この時点からまた新しい発見に満ちた喜びの中に放り込まれます。やがてヴァイオリンも加わって、三者で極めて芳醇な、しかし静かな朝を奏でてゆきます。わずか2分半ほどの演奏時間はこの名演にとってホンの一瞬....続きの曲は??とカーテンコールをしたくなるようなCDです。
ABEGG TRIOは1976年にハノーヴァで結成されたトリオで、メンバーはヴァイオリンがUlrich
Beetz、チェロがBirgit Erichson、ピアノがGerrit Zitterbartです。TACETレーベルにローベルトのピアノトリオ全集を初めとして、様々な作曲家の作品を残しているので、興味のある方はどうぞ。
さて、ローベルトの作品のピアノトリオへの編曲者ですが、いずれも19世紀、クララと同じ時代に産まれた人達です。
作品5の編曲者、Friedrich Hermann (1828-1907)はライプチッヒ・ゲヴァントハウス・オーケストラのヴァイオリン奏者で、この編曲は1871年に出版されています。この編曲は作品5の改訂版(1850年版)を主に使っていますが、第四変奏はオリジナルの1833年版を用いています。
作品105の編曲者、Friedrich Gustav Jansen (1831-1910) はオルガニスト、作品133の編曲者、Armin
Knob (1881-1951) は歌曲、合唱曲の作曲家だそうです。
このCDは2001年9月現在、アメリカのCDショップのカタログには現れていません。廃盤なのかも知れませんが、秋葉原の石丸電気に行くといつも在庫のあるCDです。しかしいつまで在庫が続くか分かりませんので、お早めに。手に入れないときっと後悔するCDです。
Modified in September 2001
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