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Lili Boulanger, Fanny Hensel,
Clara Schumann
Chore & Lieder
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Heidelberger Madrigalchor, Gerald Kegelmann
(cond.)
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レーベル;BAYER RECORDS(オーストリー) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;BR100 041 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;1988年5-6月 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★★ |
収録時間;75分22秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
(クララの曲以外の日本語資料が無いため、原語表記のままで記載します。ウムラウトなどは省略しています。)
Lili Boulanger
1. "Les Sirenes" fur Sopran-Solo, gemischten Chor und Klavier
2. "Renouveau" fur Sopran-, Alt- und Tenor-Solo, gemischten Chor
3. "Hymne au Soleil" fur Alt-Solo, gemischten Chor
4. "Soir sur la Plaine" fur Sopran- und Tenor-Solo, gemischten
Chor und Klavier
5-8. Vier Lieder fur Mezzosopran und Klavier
-"Dans l'immense Tristesse"
-"Attente"
-"Reflets"
-"Le Retour"
Fanny Mendelssohn = Hensel
9-14. "Gartenlieder" Sechs Gesange fur Sopran, Alt, Tenor und Baβ
op.3
i "Horst
du nicht die Baume rauschen"
ii "Schone Fremde"
iii "Im Herbste"
iv "Morgengruβ"
v "Abendlich
schon rauscht der Wald"
vi "Im Wald"
15. "Nachtreigen" fur 8 stimmigen gemischten Chor a cappella
Clara Schumann
16-18. Drei gemischte Chore nach Gedichten von Emanuel Geibel fur vier
Stimmen a cappella
(三つの混声合唱曲、エマニュエル・ガイベルの詩による、四声無伴奏の為の)
i "Abendfeier
in Venedig" (ヴェネツィアの夜の祝祭)
ii "Vorwarts" (前へ)
iii "Gandoliera" (黄金の香油入れ)
コメント
クララ唯一の合唱曲である「三つの混声合唱曲」が収録された、これまた唯一のCDです。存在は以前から知っていましたが、様々なインターネットCDショップのカタログから落ちて行くのを見て、最後までカタログに残っていたAmazon.comから2000年8月に慌てて購入しました。ここで買い逃したら一生の不覚。二度と聴けないかもしれない曲ですから。
CDの解説書によれば、この曲は1848年6月8日のローベルトの38才の誕生日プレゼントとして作曲され、誕生日の朝、ローベルトが同年に結成したドレスデン・合唱団によって、小さな音楽会として演奏されたとあります。その後幾つかの改訂がなされて、度々ローベルトの合唱団によって演奏され、1848年9月13日のクララの誕生日にも夕べの小音楽会として演奏されたそうです。
エマニュエル・ガイベルは当時有名な詩人で、様々な作曲家によって曲がつけられたとあります。実際このCDに収録されているファニーの作品3の第6曲もエマニュエル・ガイベルの詩によるものです。この三つの混声合唱曲は長らく出版されませんでしたが、1988年にBreitkopf
und Haertel社から出版されています。(PB 3521)
1848年といえば革命の荒らしが吹き荒れた年ですが、その様な社会の動乱とは関係ないかのように、極めて美しく、静かで、チャーミングな合唱曲が生まれています。第一曲の「ベネツィアの夜の祝祭」は、祝祭というよりも聖母マリアへの夕べの祈りという雰囲気の曲で、「Ave
Maria!」という言葉から始まる、極めて静かなしずかな祈りの曲の様に聞えます。この曲を初めて聴いたとき、かくも美しい曲がクララの手から残されたことを心から感謝しました。そして、ローベルトのミサ・サクラに思いを馳せました。クララもローベルトもプロテスタントですが、ローベルトはカトリック系のこの上も無く美しいミサ曲を残しました。そしてクララもまたカトリック系の美しい曲を残した訳です。
第二曲はちょっとテンポの早い、明るく希望に満ちた短い曲です。
第三曲はまた緩やかなテンポの美しい曲。無伴奏混声合唱曲の美しさをふんだんに持ったチャーミングな曲です。CD解説にせめてドイツ語ー英語の対訳があれば良いのですが、ドイツ語歌詞しか掲載されていないので、残念ながら曲の内容が上手く伝えられません。申し訳ないです。
無伴奏合唱曲といえば、ファニー・メンデルスゾーンを忘れるわけにいきません。ファニーはピアノ曲、室内楽、歌曲、合唱曲といった様々なジャンル曲を500も作曲していますが、色々聴いた経験からいえばファニーの才能は特に合唱曲に最大限に開花して、その美しさは比類無いものと言って良いと思います。クララ・ファンであると同時にファニー・ファンでもある私にとって、このCDに収録された合唱曲は実は耳に馴染んだ聴き慣れた曲です。皆さんにもお勧めしたいのですが、しかしこのCDは入手が困難ですので、CPOから発売されている合唱曲集(Fanny
Mandelssohn-Hensel Gartenlieder, A Cappella Choral Songs, CPO 999
012-2)を入手されて聴いてみることをお勧めします。CPOのCDでも極めて美しい合唱が繰り広げられますが、こちらのBAYERのCDでは、CPO以上に緩やかで静かな歌唱が私の耳を癒してくれます。
リリ・ブランジェはフランスを代表する女流音楽家です。没年はドビュッシーと一緒の1918年でフランス近代音楽の中で花開かせた音楽家です。しかしその生涯はたった24年という短さでした。このCDに収録されている音楽もフランス色豊かな曲達です。もちろんドイツロマン派の流れをくむファニーやクララとは全く異なる音楽ですが、フランス好きな人にはとてもチャーミングな曲達だと思います。
なおリリ・ブランジェの「メゾソプラノとピアノの為の4つの歌曲」を歌っているのは、シューマンの歌曲でもおなじみの白井光子さんです。このCDを買うまでてっきり白井さんがクララの曲も歌っているのかと期待しましたが、残念ながらリリ・ブランジェの曲以外には参加されていませんでした。
このCD解説書にはファニーの夫の、ヴィルヘルム・ヘンゼルの描いたファニーとクララの鉛筆画が掲載されていました。ファニーの肖像は有名な物ですが、私はクララの方の肖像を以前に見たことが無いので、こちらに掲載します。当時親交厚かったメンデルスゾーン/ヘンゼル家とシューマン夫妻の関係を伺い知ることの出来る絵だと思います。
このCDは2001年9月現在、Amazon.com, CD Universe両方のカタログに載っています。
Modified in September 2001
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