ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|
TRANSCRIPTIONS FROM ST.
JUSTIN'S
|
Christa Rakich (Organ)
|
レーベル;AFKA Records(U.S.A.) |
入手性;廃盤 |
CD番号;SK-541 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;不明(CD発売は1998) 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★ |
収録時間;77分35秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
-
リヒャルト・ワーグナー;トリスタンとイソルデから愛の死
-
クララ・シューマン;3つのプレリュードとフーガ 作品16
-
ビリー・ストレイホーン;蓮の花
-
モデステ・ムソルグスキー;展覧会の絵
-
サミュエル・バーバー;弦楽の為のアダージョ 作品11
-
ロッシーニ;ウィリアムテル序曲
コメント
このCDには、米国コネチカット州にあるSt. Justin's Churchのオルガンで演奏された、有名、無名の曲が収められています。クララの作品16全曲をオルガンで演奏したCDは、これが唯一だと思います。
最初に音のことを申し上げておきますが、オルガン曲のCDの大半がそうであるように、このCDにも壮大な重低音が入っています。ですからCDを聴くシステムによって演奏の印象がかなり異なってしまいます。重低音再生の可能なシステムで聴くと、低音から高音までの音色の溶け合いが見事でとても楽しめますが、ポータブルCDや、ラジカセのようなシステムで聴くと高音ばかりが目立ってしまい、つまらない演奏に聞こえます。
このCDのメインディッシュは、展覧会の絵とウィリアムテル序曲ですが、とりわけ展覧会の絵は見事な演奏です。このオルガンは相当な大規模の物と思われ、いわゆるオルガン的な音、フルートやオーボエの様な管楽器的な音、そしてコントラバスの様な弦楽器的な音も出すことが出来るので、そこから紡ぎ出される音楽はオーケストラで演奏された様な効果を発揮しています。個人的にはピアノ演奏版よりも音色が多彩で、オーケストラ版よりも荘厳という印象を持ちました。ウィリアムテル序曲も見事ですが、オルガンの特性として速い演奏が出来ないので、テンポの良いところを遅く弾かねばならず、元気さに欠ける部分があるのがちょっと残念です。
さて、クララの作品16、3つのプレリュードとフーガのオルガンによる演奏ですが...この曲は1845年にローベルトと二人でバッハのフーガ研究に取り組んだ結果として生まれたもので、本来のピアノ演奏で聴くと、特にフーガの部分は素人耳にバッハ的な響きを持っています。その曲をオルガンで聴く...これはもう期待度大ですね。結果は...正直な第一印象として、クララが偉大なピアニストであり、ピアノを知り尽くした作曲家であった事を思い知らされました。オルガンによる演奏ではピアノの演奏のようにはプレリュードが美しく響かないのです。それはピアノの音域を超えた編曲にも依りますが、それ以上に最初に音が立ち上がった瞬間から減衰を始めるピアノの音に対して、緩やかに立ち上がりそのまま持続するオルガンの音の違い、そして複数の鍵盤を弾いたときに全ての音が同じ大きさとなるオルガンの特性により、連続する和音の縦と横の重なり具合、音量的なバランスがピアノとは全く異なってしまい、ちょっと濁って聞こえてしまうのです。
一方フーガの部分はもともとバッハ的な音作りをしているためか、プレリュード部分ほどには違和感はなく、すてきな複数の声部の交じり合いを聴くことが出来ます。
ピアノの演奏に比べてちょっと残念な響きを持った演奏ですが、何度も聴いていると違和感も消えてきて、荘厳な教会で聴くクララ(!)の音楽は、それはそれで大きな歓びです。
このCDは2001年9月現在、Amazon.comのカタログから落ち、CD UniverseもBackorderになっています。再プレスが無ければ廃盤の様です。
Modified in September 2001
ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|