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Dichterliebe IN FOUR SEASONS
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Jean Danton (Sop), Thomas Stumpf (Pf), Elizabeth Kirschner (詩)
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レーベル;Albany Records |
入手性;輸入現行盤 |
CD番号;TROY917 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;2006年1月3-6日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★ |
収録時間;66分00秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
ローベルト・シューマン
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クルミの木(ミルテの花・作品25の第3曲)
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君は花のごとく(ミルテの花・作品25の第24曲)
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献呈(ミルテの花・作品25の第1曲)
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ロマンス(ウィーンの謝肉祭の道化芝居・作品26の第2曲)
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三つのロマンス・作品28
クララ・シューマン
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ロマンス・イ短調(三つのロマンス・作品21の第1曲)
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ロマンス・ホ長調(三つのロマンス・作品21の第2曲)
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ロマンス・イ短調(作品番号無し)
ローベルト・シューマン(曲)、エリザベス・キルシュナー(英語・詩)
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詩人の恋(四季バージョン)
- Spring 1〜4
- Summer 5〜8
- Autumn 9〜12
- Winter 13〜16
コメント
クララの収録曲がピアノ曲のためピアノ独奏曲のカテゴリーに入れていますが、これはローベルト・シューマンの歌曲のCDで、詩人の恋を英語で歌ったところが最大のウリです。
このCDが発売された時の国内CDショップの説明では、キルシュナーが詩人の恋の歌詞を英訳したとありますが、それは間違いで、オリジナルと比較してみたところ、このCDの歌詞は全く別物です。ライナーノーツの詩人の恋の歌詞冒頭には「Dichterliebe in Four Seasons. Music by Robert Schumann, Poetry by Elizabeth Kirschner」とあり、オリジナルを英訳したとは書いてありません。解説を子細に読めば、ハイネの詩の中から恋の季節を表現しているものを選び、詩人の恋の旋律に合わせて歌う英語の歌詞を用意したとあります。採用された詩のオリジナルがどの様な物か分らないので何とも言えませんが、CD解説の文調からすると殆どキルシュナーのオリジナルの詩として扱われており、ハイネの詩がベースにあるとしても大幅に改編されているようです。従って、本来の詩人の恋の音楽を英語で楽しめると思うと裏切られます。念の為に付け加えれば、詩人の恋以外の歌曲はドイツ語歌唱です。
このCDはローベルトの歌曲の間に、ローベルトとクララのピアノ独奏曲を挟んだ構成になっています。演奏の方は歌曲とピアノ曲では切り分けた方が良い出来栄えになっています。
歌曲の方は、ソプラノのJean Dantonの声はソプラの中でも高く透明感があり、とてもチャーミングです。寄り添うピアノも特に欠点は目立たず、聴いていて楽しいです。ソプラノの感情表現は多少淡泊で、声を荒立てるような強唱も無い代わりに、甘く語りかけるような妖艶な部分もありませんが、大きな不満になる様な部分は無く、極く普通にローベルトの歌曲を楽しめます。但し英語歌唱の詩人の恋ですが、英会話に多少の心得のある私でも歌詞を殆ど聞き取る事が出来ませんでした。裏声の様な発音で歌うので母音の発音がハッキリせず、歌詞を見ながら追いかけるのがやっとでした。私レベルの英語力では英語歌唱の意味がありません(^^;。
ピアノ独奏曲の方は逆にあまり魅力が無い演奏になっています。まず私が気に入らなかったのはピアノの音色。一つ一つの音に透明感が無く、全ての音に濁点がついた様な音色になっています。持続音の時にうなりを明瞭に聞き取れたりするので、ひとつの音につき2〜3本ある弦の調律がかなりズレているのでしょう。和音の時には音が団子になって響いてきますし、強奏になればなるほど音が濁ります。演奏の方はそれなりに気を使って丁寧に弾いていますが、ピアノの音にも邪魔されてニュアンスに富んだ演奏にはなっていません。
小さな救いはクララの三曲。どれも静かでゆったりとしたテンポの曲なので、比較的ピアノの欠点が目立ち難くなっています。Thomas Stumpfはかなりゆっくりとしたテンポで丁寧にクララの曲を紡ぎあげ、ナイーブな感情を上手く表現しています。これで和音や持続音に透明感があれば、、
録音は基本的にクリアでレンジも広いものです。但し歌曲ではステレオ感が変化する事が時折あり、聴いていて違和感を覚えます。歌手が歌いながら頭を動かす事によって歌手の定位が動くCDは他にもありますが、音の拡がり感がピアノも含めて変化する(ちょっと大袈裟に表現すれば、ステレオ→モノラル→ステレオと連続的に境目無く動く)のは頂けません。
ソプラノのJean Dantonはアメリカを中心に幅広く活躍しており、ライナーノーツには1ページ半に渡って過去のコンサート歴が記載されていますが、生まれや学んだ大学などは書かれていませんでした。Dantonのサイトがあるので訪問しても、そこに有るプロフィールはCDの文章と全く一緒で、それ以上の事は分りません。
ピアニストのThomas Stumpfは上海生まれ。オーストリー・ザルツブルグのモーツアルテウムと、米国ボストンのニューイングランド音楽院でピアノを学び、現在はニューイングランド音楽院、ボストン大学を始め幾つかの音楽大学でピアノを教えています。モーツアルトを中心に録音も多数残しているようです。
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