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Robert & Clara Schumann
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The Polmear Ambache Duo - Jeremy Polmear (Oboe and Cor Anglais), Diana Ambache (Pf)
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レーベル;Oboe Classics |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;CC2002 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;2002年4月29日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★ |
収録時間;52分49秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン:三つのロマンス・作品94(オーボエとピアノ)
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ローベルト・シューマン:アダージョとアレグロ・作品70(コール・アングレとピアノ)
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クララ・シューマン:バイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22(オーボエとピアノ)
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ローベルト・シューマン:民謡風の5つの小品・作品102(コール・アングレとピアノ)
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クララ・シューマン:ロマンス・イ短調1853(オーボエとピアノ。原曲はピアノ独奏曲)
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ローベルト・シューマン:夕べの歌・作品85-12(オーボエとピアノ)
コメント
ピアニストのDiana Ambacheは英国を拠点に自ら室内楽オーケストラを率いる指揮者兼ピアニストで、ピアノ独奏曲や協奏曲、室内楽を多数録音しています。また女性作曲家の研究家としても著名で、クララの未完のピアノ協奏曲を初めとして、女性作曲家の作品を数多く録音しています。彼女のサイトには女性作曲家を簡潔に説明したページがあり、私も時々お世話になっています。
オーボイストのJeremy Polmearは名門ケンブリッジ大学・理学部を卒業しIBMに勤務した異色の経歴の持ち主で、その後音楽に転向し、英国内の数多くのオーケストラと共演しています。1977年にAmbacheとThe Polmear Ambache Duoを結成して世界中を演奏しているそうです。このCDもこのデュオ活動の一環になります。
このデュオによる演奏は豊かな音楽性に溢れて、殆ど非の打ち所の無いものになっています。
まずローベルトの4曲ですが、どれもとても魅力的な演奏です。テンポは比較的遅めにとられて、細部に至るまで極めて丁寧に表現されています。特にピアノの伴奏の心配りが絶品で、そこにオーボエ/コール・アングレのニュアンス豊かな音色が乗ってくるという印象です。小さな欠点としてこのオーボエは倍音が少しきつく響くので、アルト・オーボエとも呼ばれるコール・アングレによる演奏の方が、重心が低く、倍音の刺激が消えて、より耳に心地よい演奏になっています。従って、アダージョとアレグロと民謡風の5つの小品は絶品ですね。
クララの三つのロマンス・作品22ですが、第1曲目は非常にゆったりとした序奏と共に、淑やかに曲が紡がれて行きます。細部のニュアンスが絶妙で、ついつい惹き込まれてしまいます。第2曲、第3曲も同じ印象で、標準よりも少しゆったりとしたテンポで、細部に至るまで細心の心配りで演奏しています。この曲がもしコール・アングレで演奏されていたら、より聴きやすい、そしてこの楽器による世界唯一のクララのロマンス・作品22になったかも知れません。
クララのロマンス・イ短調をオーボエとピアノで演奏するのはこのCDが世界初です。殆どオリジナルのままに、主旋律のみをオーボエが受け持ち、ピアノは主旋律以外を演奏している感じですが、元々この楽器の為に作られた曲かのような見事な調和を見せています。ピアノの歌姫、クララの作品は主旋律が明確なものが多いので、今後ともにピアノ独奏曲を室内楽デュオで演奏するケースが増えるかも知れません。あるいはそう言う期待を抱かせてくれる演奏です。なお類似の例として、新倉瞳さんと鈴木慎崇さんがクララの作品11-2をチェロとピアノで演奏しています(EMIクラシックス TOCE-56150)。
録音自体はとてもクリアですが、もしオーボエの倍音のきつさが録音時の工夫で抑制出来ていたら不満はありませんでした。
このCDは2009年3月現在、現役盤でアマゾンや主なインターネットCDショップで購入出来ます。
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