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Romantic Variations
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Beverley Serra-Brooks (Pf)
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レーベル;Hummingbird Music |
入手性;廃盤 |
CD番号;CDD 001 |
お気に入り度;★★ |
録音年月日;1993年 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;63分04秒 |
音質 ;★★ |
収録曲
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クララ・シューマン:ローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20
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ローベルト・シューマン:交響的練習曲・作品13
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クララ・シューマン:4つの性格的小品・作品5
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フレデリック・ショパン:バラード第4番・作品52
コメント
このCDは1993年に録音&発売されましたが、2009年4月に中古で入手するまで全く存在に気付きませんでした。過去にアマゾンやCD Now, CD Universeなどの大手CDショップのカタログに掲載された事が恐らくありません(あれば私が発見しています)ので、恐らくアメリカのとてもマイナーなレーベルなのでしょう。その様な幻のCDですが2009年になって米国アマゾンのマーケットプレイスに突然に出現したので購入してみました。カリフォルニアのCDショップから届いたCDを早速再生してみれば、素敵なクララの曲との出逢いを期待した私の夢は儚く崩れて、、
クララのローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20は、全体がゆっくりとしたテンポで演奏されて、変奏ごとの変化感に乏しい演奏になっています。またメロディラインの紡ぎ方もぎこちなく、余り魅力的に響きません。とても丁寧な演奏と言えばその通りで、音符を全部確実に弾いているのですが、丁寧な「音楽」にまでは昇華していません。
ローベルトの交響的練習曲も冒頭主題を展開する変奏曲の一種ですが、印象はクララの作品20に近く、全体がゆっくりとぎこちなく演奏されます。
クララの4つの性格的な小品の第1曲「魔女の饗宴」は、やはりぎこちなさが先に立ち、魔女が踊る不気味さがコミカルに響いてきます。第2曲「ボレロ風カプリース」は通常馬が疾走するように聞こえるのですが、テンポが遅い上に、リズムがぎこちなく時折つまずくので、別の曲に聞こえます。終曲「亡霊達の踊り」は音の角が丸くて、リズムにキレが無く、漫画に出てくるコミカルなオバケの踊りという印象です。
ショパンのバラードはショパンの様に聞こえますので相対的に一番まともな演奏かも知れませんが、他のピアニストが紡ぐバラードらしいダイナミックさが無くて、平凡な曲になっています。
1993年のデジタル録音ですが、殆どモノラル録音に近い音場で拡がりを感じません。周波数レンジも狭く、ヒスノイズも感じられるので、50年代後半から60年代初期の録音の様に聞こえます。録音プロデューサーのファミリーネームもBrooksとあるので、ふたりは夫婦か兄妹でat homeな機材による録音かも知れません(録音場所そのものはホールの様です)。
ピアニストのBeverly Serra-Brooksはアメリカ人で、クララの生涯と演奏を取り上げた「Clara Schumann at the Piano」という演劇を交えたリサイタルを公演し、アメリカ各地で評判になり、ラジオ番組にも取り上げられたピアニストとの事です。例によってコンサート受賞歴や師事したピアニストがライナーノートに記載されていますが、このCDの演奏を聴くとプロのレベルにあるとは言い難く、説得性に欠ける気がします。
ライナーノーツにはSerra-Brooksがアメリカ人として最初にクララ・シューマンの作品を録音したとありますが、1993年以前にアメリカ人演奏家によって録音されているCDを複数所有していますので明らかな間違いです。
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