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KLAVIERNACHT
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Sylvia Hewig-Troscher (Pf)、他(収録曲参照)
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レーベル;BAYER |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;100255 |
お気に入り度;★ |
録音年月日;1995年6月19-21日 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;61分50秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
マリア・シマノフスカ
- Drei Walzer
(ピアノ:Eva Schieferstein)
ファニー・メンデルスゾーン・ヘンゼル
- Zwei Lieder fur des Pianoforte OP.6
(ピアノ:Mari Hollo)
クララ・シューマン
- プレリュードとフーガ・作品16-1
- 3つのロマンス・作品11(CDには作品10と記載されているが誤り)
(ピアノ:Sylvia Hewig-Troscher)
セシル・シャミナード
- L'Automne Konzertetude OP.32-2
(ピアノ:Micaela Gelius)
Silvia Sommer
- La vida de cada canto
(ピアノ:Gertrud Firnkees)
Gloria Coates
- Tones in Overtones
(ピアノ:Eva Schieferstein)
Gertrud Firnkees
- Plymetrika
(ピアノ:Mari Hollo)
Dorothee Eberhardt
- Time Changes I
- Time Changes II
- Time Changes III
(ピアノ:Micaela Gelius)
コメント
KLAVIERNACHT、日本流に言えば「ピアノの夕べ」と題された、ロマン派から現代に至る女性作曲家のピアノ作品を集めたCDです。録音日が1995年6月19-21日とありますので、異る音源の録音を集めたオムニバス盤ではなく、演奏会かそれに準じたイベント、あるいはその主旨に則った録音と思われます。
収録している8人の作曲家の内、前半4人の作曲家が18-19世紀生まれの作曲家で、後半4人は20世紀生まれの全員現役の現代作曲家です。後半4人の音楽は現代音楽の嫌いな私には誠に残念な事に、不協和音に満ちたメロディの無い音楽で、一番嫌いな類ばかりなので、コメントは割愛します。
18〜19世紀の作曲家の作品ですが、残念ながらこちらも殆ど良い印象を持てません。まずEva Schiefersteinが演奏するシマノフスカのワルツですが、演奏がぎこちなく、ピアノを習い始めた学生が練習曲を弾いているかのようです。あるいは元の作品が稚拙なのかも知れませんが、一流ピアニストなら練習曲でも素敵な音楽に仕立てられると思うのですが、そうなってはいません。
続くMari Holloが演奏するファニー・メンデルスゾーンのピアノの為のリート・作品6ですが、このピアニストの演奏もプロのレベルにはありません。聴き慣れた筈のファニーのピアノの為のリートが、とてもぎこちなく、メロディの流れが失われて演奏されます。これほど下手なファニーの演奏をメーカー製のCDで聴くのは初めてのような気がします。
Sylvia Hewig-Troscherが演奏するクララの2曲。まずプレリュードとフーガ・作品16-1の方は、ぎこちなさがある物の、聴けなくは無いです。後半のフーガの方が流れが出て音楽としてはまともになるのですが、このピアニストの悪い足癖が出てきて気が散ります(これは後述)。3つのロマンス・作品11は戴けません、目茶苦茶です。第1曲はこの下も無いほどに演奏がぎこちなく、個々の音の質がバラバラでとぎれとぎれに出てくる印象です。第2曲はデリカシー無しにかなりテンポ速く演奏されるのですが、加えてこのピアニストは足で床を踏み鳴らしながら演奏します。多分演奏している場所の床が弱いのかとは思いますが、ペダルを使うたびに「ドン、ドン、ドン」という音がピアノの音に匹敵するレベルで入っています。ロマンティックな筈のクララのロマンスを、足でドンドンとリズムを付けながら聴かされるとは思いませんでした。注意深く聴くと他のピアニストのペダルでも音がするので、やはり演奏場所の床が弱いのだと思いますが、しかしこのピアニストの足の力は人十倍のようです。録音経験のあるピアニストなら、服が擦れる音とか、ピアノ本来の音以外のもの(=雑音)に気を配るのは当然だと思うのですが、、、
シャミナードを演奏するMicaela GeliusはArte NovaからクララのCDを2枚出して、その2枚ともに私が絶賛しているピアニストだけあって、他のピアニストとは次元の違う演奏をしてくれました。この演奏だけがこのCDでの救いです。ただ、絶対的に見ればピアノの音が上質ではなく、録音も余り良くないので、これが最上のシャミナードの演奏とは言えないでしょう。
音質は残響を殆ど感じない、とてもデッドな録音になっていて、あまり楽しめる音質ではありません。レンジも狭い印象がします。またピアノの音色自体が余り魅力的ではなく、スタインウェイのコンサートグランドではなく、無名安物のピアノを聴いているかのようです(CDに使用ピアノの記述無し)。但しヒスノイズなどは感じませんし、音がデッドである事を除けば個々のピアノの音は明晰です。
このCDは2009年7月現在現役盤で、アマゾンなどで購入可能です。
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