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ROMANCENDRES
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Christoph Richter (Vc.), Denes Varjon (Pf) SWR Vokalensemble Stuttgart, Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR, Heinz Holiger (Cond)
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レーベル;ECM Records |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;ECM 476 3225 |
お気に入り度;★☆☆☆ |
録音年月日;2007年7月、2008年2月 録音;DDD |
資料的貴重度;★★ |
収録時間;60分01秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
- クララ・シューマン:ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22(チェロとピアノによる演奏)
- ハインツ・ホリガー:ロマンセンドレス(チェロとピアノの為の)
- ハインツ・ホリガー:暁の歌(ローベルト・シューマンの曲とフリードリッヒ・ヘルダーリンの詩に基づく、オーケストラと合唱とテープの為の)
コメント
クララのヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22を、チェロとピアノで演奏した3枚目のCDですが、先ずはそれ以外の曲について説明しておきましょう。
クララが晩年の1893年、彼女の死後に出版されることを恐れて焼却処分したローベルトの「チェロとピアノの為のロマンス」。ホリガーはそのロマンスに思いを馳せてチェロとピアノの為の「ロマンセンドレス」を作曲したとあります。曲は六つの楽章からなり、一つ目は「Kondukt 1 (C.S - R.S)」と題されており、クララとローベルトの間の対話を表現した曲のようです。作曲のいきさつとこの曲名を見て期待は膨らみますが、実際の音楽は純粋な現代音楽で、クララやローベルトの時代の曲とはにても似つかぬ、無調性の不協和音のみの音楽です。全部で20分弱の曲ですが、私にはとてもではありませんが苦痛で、2分以上は聴けませんでした。
続く「暁の歌」は、ローベルトのピアノ曲「暁の歌・作品133」を用いて、フリードリッヒ・ヘルダーリンの詩を付けて合唱と朗読の音楽にしています。「テープの為の」という不思議な演奏指定があるのは、ローベルト時代の何かの録音音源を用いているからで、朗読の背後に流れる不気味な雑音がその正体のようです。曲は冒頭、ローベルトの暁の歌・第1曲に合唱が乗る形で進みます。それだけなら心地良い音楽ですが、背後には常に不協和音が流れていて、私にはやはり馴染まない音楽です。続いて合唱とオーケストラ演奏は消えて、声優二人の朗読と、背後に不気味な雑音が流れます。そんな雰囲気が30分間続く曲です。
クララのチェロとピアノで演奏される三つのロマンス・作品22は、オリジナル通りの曲を、ただヴァイオリンパートをチェロに置き換えただけの演奏で、極めて心地良い音楽になっています。この編成で3枚目のCDですが、後に出るCDほど芳醇な演奏になっており、このCDによる演奏が今のところ一番優れていると思います。
第1曲目から重心の低いチェロが、メロディをゆったり、朗々と演奏して行きます。寄り添うピアノも柔らかく、芳醇な音楽になっています。第2曲も同様で、チェロは弱音部分のニュアンスに気を遣いながら演奏してくれるので、デリカシーに富んだ曲になっています。第3曲は一転してテンポを速く取り、ヴァイオリンで演奏するのと変わらない表情を植え付けています。全体を通じてチェロの重心の低さと音色の芳醇さを生かしながら、曲ごとのコントラストも持ち合わせた演奏になっています。
クララの三つのロマンスだけならば四つ星か五つ星を付けたいのですが、それ以外の曲を生理的に受け付けられないので、CD全体は一つ星、クララのロマンスの好演に対して四つ星という個人評価にしておこうと思います。
録音は特に問題ありません。クリアで帯域バランスも自然です。
このCDは発売当初はドイツ、フランス、英国のアマゾンでしか入手できませんでしたが(私は英国から購入)、2009年8月現在は日本のアマゾンでも扱われています。
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