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Brahms Sonate fur Klavier
No.3
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鷲見 加寿子 (ピアノ)
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レーベル;ライブノーツ(日本) |
入手性;国内現行盤 |
CD番号;WWCC-7275 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;1995年12月21-22日 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;65分57秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ブラームス ピアノソナタ第三番 ヘ短調 作品5
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クララ・シューマン ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 作品20
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ローベルト・シューマン アベッグ変奏曲 ヘ長調 作品1
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ローベルト・シューマン アラベスク ハ長調 作品18
コメント
鷲見加寿子さんは、日本人ピアニストとしてはおそらく杉谷昭子さんに次いで二番目にクララの曲を録音された人になります。また岩井美子さんと同様に、デビューCDにクララの作品を取り上げられました。
メインディッシュのブラームスのピアノソナタ第三番の演奏は、仲道郁代さんの大ファンである私の基準でも、仲道さんを抜いてこの曲の演奏の中で最も好きなものです。演奏は非常に細やかな気配りに満ちて、一つ一つの音符の表情が極めて豊かです。一方で強奏部の力強さもあり、ブラームスに求められる多彩な響きを余すことなく発露され、実に美しく演奏されています。この様な演奏スタイルに第1楽章からぐいぐいと惹き込まれて行きます。弱音部のデリカシーは本当に素敵です。続く第2楽章Andante
espressivoは白眉の演奏といえるでしょう。私は鷲見さんの弾く、デリカシーと優しさに満ちた第2楽章を聴いていると、恍惚となってしまいます。第3楽章のスケルッツォも荒々しくならず、しかし力強く、右手の音符の輝きをキラキラと美しく保ちながら見事に演奏されています。第4楽章、第5楽章の力強さとデリカシーが見事に同居した美しい演奏も、最高の物です。
余談ですがこのブラームスのソナタ(1853年作曲)の第二楽章にはクララの四つの束の間の小品作品15(1840-44年作曲)の第三曲Andante
espressivoの主題が引用されています。そしてブラームスの第四楽章Andante moltoの主題はクララのロマンス・ロ短調(作品番号無し、1855年作曲)に用いられています。ブラームスのピアノソナタ第三番ひとつ取り上げても、ブラームスとクララの親密な音楽関係が伺えます。
クララの作品20の演奏も実に美しい!全体的なテンポをやや遅めに採られて、丁寧に弾かれています。強奏部でブラームスの曲と同様な力強さを見せるのが個人的にはちょっとと思う面もありますが、それ以外の部分、緩やかな変奏の美しさは極上物です。
ローベルトのアベッグ変奏曲の演奏もキラキラとしていて、また陰影にも富んで素敵な演奏だと思います。ブラームスのソナタ第三番といい、ローベルトの作品1といい、緩やかに美しい部分と、テンポ速く右手のキラキラしたメロディが混在した曲を弾かせたら、鷲見さんは実に素敵な表現をされます。正直に言ってこの演奏の良さはじっくり聴き込んでから分かるようになりました。
最後のアラベスク。柔らかい出だし、墨絵のような音符の表情、そこにやがて淡い水彩画のような色味が加わって、だんだん色味が加わってきます。しかし決して極彩色にはならない、柔らかく、静かな演奏。ちょっとローベルト特有のリズムの妙が薄いかも知れませんが、美しさはこの上無し、です。
2001年9月現在、このCDは大手CDショップの店頭で購入できます。
Updated in September 2001
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