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Felix Mendelssohn
Concerto for Piano in E minor
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Jennifer Eley(Pf), Sayard Stone (Cond), English
Chamber Orchestra
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レーベル;KOCH international(U.S.A.) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;3-7197-2 |
お気に入り度;★★ |
録音年月日;1994年8月 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★★ |
収録時間;64分01秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
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フェリックス・メンデルスゾーン ピアノ協奏曲ホ短調(未完、R. Larry Toddにより再構成)
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ローベルト・シューマン ピアノとオーケストラの為の協奏楽章 ニ短調(1839年未完)
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クララ・シューマン ピアノソナタ ト短調
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ファニー・メンデルスゾーン 12ケ月から抜粋(2、3、5、9、12月)
コメント
このCDのハイライトはフェリックス・メンデルスゾーンとローベルト・シューマンの未完のピアノ協奏曲です。メンデルスゾーンの協奏曲はこのCDが世界初録音、ローベルトの協奏曲には世界初の注釈がありませんでしたが、他の録音をシューマン好き仲間で知っている人がいないので、事実上このCDでしか聴けないと思います。
CDの解説によればメンデルスゾーンの協奏曲ホ短調の詳細は不明で、13ページの二楽章分のピアノスコアと、9ページの不完全な第一楽章のオーケストレーションのドラフトがOxfordにあるBodleian
Libraryに残されているとの事です。ただ、彼の残された手紙などからの推定によれば、名曲ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64の作曲時期(1842〜1844)
に並行してピアノ協奏曲を作曲しつつも完成できなかった記録があり、これがこのピアノ協奏曲の正体ではないかと思われます。CDの解説者はヴァイオリン協奏曲と類似した作品なので(例えば調性が同じ)、ヴァイオリンの方を完成後ピアノの方は破棄したのではないかという推論で解説を結んでいます。
メンデルスゾーンのピアノ協奏曲は、聴けばなるほどヴァイオリン協奏曲作品64を彷彿とさせるピアノパートとオーケストラパートの旋律の美しさとその掛け合いが際立ちます。もちろん主題はヴァイオリン協奏曲とは全く異なるのですが、ちょっと聴けばメンデルスゾーンと判別出来るような美しさに富んでいます。
ローベルトの協奏曲ニ短調は、私の持っている三省堂のクラシック音楽作品名辞典(初版第13刷)では1833年の作曲、CDの解説では1834年の作曲とありますが、最近の資料では1839年作曲となっています。クララのピアノ独奏曲全集を録音し、更にはクララの未完のピアノ協奏曲を補稿出版したJozef
de Beenhouwerがこの協奏曲も補稿出版しました。この曲はちょっと評価しにくい曲です。いわゆるローベルトの曲と言う感じが希薄で、ピアノの技巧とそれに対抗するようなオーケストラの威勢のいい演奏ががっぷり四つに組んだ感じの曲です。メンデルスゾーンの協奏曲がピアノとオーケストラの交唱という感じなのに対して、ローベルトのはピアノとオーケストラの競奏という感じです。
さて、肝心要のクララのピアノソナタ・ト短調ですが、クララのピアノ曲の演奏としては個性的なものになっています。Jennifer
Eleyというピアニストはどちらかと言えば超絶技巧、打鍵の力強さをとりえとするピアニストの様で、ト短調ソナタを極めて力強く、音符の粒だちよく弾いています。まるですべての音符にスタッカートがあるような、といえば判って頂けるでしょうか?この曲を身近なものにしてくれた岩井美子さんの演奏と比べると演奏スタイルには水と油ほどの開きがあります。Eleyは筋肉粒々な男性的、岩井さんは淑やかな女性的に弾いています。私はもちろん岩井さんの方が好きです。
ファニー・メンデルスゾーンの12ケ月(Das Jahr)はファニーの曲としてはピアノトリオに次いで良く録音される名曲ですが、この演奏はクララのソナタ同様に力強く男性的に弾かれていますので、ちょっと?と言う感じです。それにこのCDは抜粋ですから、この曲を聴きたければ他の全曲盤をお勧めします。全曲盤はCPOとBAYERなどから発売されています。
このCDは2001年9月現在、Amazon.comトバークシャーレコードに在庫があります。
Modified in September 2001
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