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Clara Schumann Piano Works
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Daniel Levy (Pf)
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レーベル;EDELWEISS(英国) |
入手性;海外現行盤(本文参照) |
CD番号;ED 1051 |
お気に入り度;★★ |
録音年月日;1997年?(詳細不明) 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;62分59秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
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4つの束の間の小品・作品15から、第1曲〜第3曲(※)
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ピアノソナタ・ト短調
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3つのロマンス・作品11
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ローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20
※作品15の第4曲スケルッツォは、ピアノソナタ・ト短調の第3曲スケルッツォと同一なので、省略されています。
コメント
忘れた頃に私の手元にやってきたCDです。CDショップ・カデンツァの新譜情報を見てこのCDを発注したのが、確か2000年の6月頃(よく覚えていません)、このCDが自宅に届いたのが2001年10月です。発売延期になったのか、初期プレス分が完売だったのかはわかりませんが、その間にAmazon.comなどのCDショップに現れたことは無く、入手を諦めていたCDでした。2001年に突然届いたということは、入手可能になったと思って良いと思います。ただこれを書いている時点では他のCDショップでの在庫を確認していません。
クララの曲だけで構成されたCDは最近の新譜としては珍しいものです。そして、男性ピアニストがまるごと一枚クララの独奏曲を収録したCDという点でも珍しく、先般再販なったJozef
de Beenhouwerの全集とこのCDしかありません。なお、このCDはクララ没後100年を契機として録音されたようです。
ピアニストのダニエル・レヴィは、1947年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。ローベルト・シューマンのピアノ独奏曲のCDを多数Nimbus
Recordsに残しているピアニストです。シューマン好きの人なら名前を聞いたことがあるでしょう。
演奏ですが、とても個性的です。テンポは全体的に遅く、リズムの付け方、アゴーギクはかなり気ままで、キータッチの振幅もかなり大きいものです。
4つの束の間の小品の第1曲 Larghetto、テンポは遅めで出だしは柔らかいのですが、リズムの取り方が聴き慣れたものとは異なり、また16小節目からのメゾフォルテ部分で割れんばかりの強奏をするので、クララ屈指の美しい曲の美しさがあまり表現されていません。第2曲
Un poco agitatoは、極めて元気よく、歯切れよく一つ一つの音符を強奏してくれます。クララの持つ繊細さと美しさは影を潜めています。第3曲
Andante expressivo の出だしはまたテンポが遅く、柔らかく、所々に楽譜にないフェルマータを散りばめたような独特のアクセントが個性的です。頻繁に出てくる連続する八分音符の下降音型も、一つ一つの音の長さを変えて降りてくるので違う曲の様です。ただこちらは全体がテンポ遅く保たれ、メゾフォルテ部分でも荒々しさが顔を出さないので、ある種の優しさをたたえた存在感ある演奏になっています。第4曲
Scherzoが続くソナタの第3曲と同じと言う理由でカットされていますが、これは残念な事です。楽譜的には同じでも、作品15の中で弾くスケルッツォと、ソナタの中で弾くスケルッツォは解釈が異なるはずだからです。
ソナタ・ト短調の第1楽章Alegro、テンポはとても遅めです。相変わらずアクセントとリズムの取り方が独特で、妙に音を伸ばしてみたり、その後で帳尻合せの為に急いでみたりしています。また割れるような強奏が時々行われます。中間部で顔を出すスケルッツォ第2番作品14のメロディも、本来は一連の和音の流れを途中で気ままに分断する為に、空中分解しています。
第2楽章Adagioはもともと遅いテンポを持つ曲ですが、この演奏の遅さは天下一品。まるで一小節の中に二つぐらいはフェルマータが有るようです。
第3楽章のScherzoは標準的なテンポで、リズムも標準的。安心して聴けました。
第4楽章Rondoも第1楽章、第2楽章同様に独特なアクセントとリズムに悩まされます。
3つのロマンス・作品11もクララの中では屈指の繊細さと美しさをたたえた曲ですが、前出の曲同様にLevy独自のピアニズムによって、異なる性格が与えられています。
ローベルト・シューマンの主題による変奏曲作品20のテンポの遅さには驚愕します。演奏時間はEickhorstの10分43秒に対して、実に15分28秒もかかっています。正直に言って、ローベルトの作品99のメロディや、それを展開して行くクララのメロディが横につながりのない独立した和音に切り刻まれて、見る影も無くなっています。終盤のクララの作品3のメロディが現れる部分も、リズムとアクセント、休符が全く異なる形で弾かれるために、クララのテーマでは無くなっています。
正直に言って、がっかりしたCDです。
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