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Robert & Clara Schumann
Piano Concertos
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Lucy Parham(Pf), Barry Wordsworth(Cond.),
BBC Concert Orch.
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レーベル;CASTLE COMMUNICATIONS /Autograph
(イギリス)
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入手性;廃盤 |
CD番号;MAC CD 902 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;不明 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★★ |
収録時間;70分27秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
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クララ・シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 作品7
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クララ・シューマン ピアノ協奏曲 ヘ短調(1847年 未完)
コメント
クララのピアノ協奏曲のCDはどれも入手が難しいですが、ヘ短調の未完のピアノ協奏曲を収録したCDを入手しようとすれば、現時点はこのParham盤しか可能性がありません。もう一つのCDであるDiana
Ambache盤はCDとしてではなく、月刊誌の付録としてイギリスで発売された物ですから、日本での入手は先ず無理でしょう。ただ、この一枚物のCDは既に廃盤の様なので、二枚組みのCDを探してください。
さて、クララのピアノ協奏曲イ短調作品7の演奏ですが、私の持っているVeronica
Jochum盤と比べると「えっ?」と思うぐらい演奏スタイルが異なります。Veronica
Jochum盤を基準にすると、Lucy Parham盤はオケもピアノも一つ一つの音符やフレーズで立ち止まるような、ゆったりとした大人しい演奏という感じを受けます。各パートの演奏は丁寧な感じがするのですが、オケとピアノの掛け合いと言う面では弱い気がします。逆にLucy
Parham盤を基準にすれば、Veronica Jochum盤は猪突猛進?とにかくピアノもオケも前を向いてどんどん突き進む感じがします。この違いが端的に現われているのが演奏時間。Lucy
Parham盤の23分06秒に対してVeronica Jochum盤は20分56秒。おおよそ一割ほども差があります。
両者と聴き比べた個人的感想は、第一楽章はもともとピアノとオーケストラの絡み合いがさほど多くない楽章なので、各パートの演奏の丁寧なLucy
Parham盤の方が素敵な気がします。曲目解説の所で述べたショパン的な雰囲気もLucy
Parham盤には余り感じません。しかし第三楽章はローベルトがオーケストレーションを手伝っただけあって、ピアノとオケの絡み合いが緻密です。ですからVeronica
Jochum盤の方が聴いていて楽しいです。ピアノとチェロしか出てこない第二楽章は....わずかにLucy
Parham盤の方がチェロの表情が芳醇で良いですね。
クララの未完のピアノ協奏曲の方も同じ様な評価になります。私の持っているDiana
Ambache盤と比べるとゆっくりと丁寧に、静かに演奏している気がします。逆にLucy
Parham盤を基準にすれば、n'Guinさんの言葉通りDiana Ambache盤は「豪放な演奏」という事になります。個人的にどちらが好きかと言われれば、作品7にも増してこの未完の協奏曲はピアノとオーケストラの絡み合いが聴きどころだと思ってますので、Diana
Ambache盤に軍配を挙げたいと思います。
とはいえLucy Parham盤の演奏でも何等不満はなく、しかもDiana Ambache盤は入手出来ないのですから、見つけたら是非ともその場で迷わずに購入してください。この協奏曲のオーケストラパートの冒頭のメロディはブラームスの交響曲第一番第一楽章冒頭に用いられています。それを耳で確認出来るのはこのCDだけでしょう。
最後に、是非とも述べておきたい事がひとつ。このCDのメインディッシュであるローベルトのピアノ協奏曲イ短調作品54。この演奏は凄い!です。実に細かく楽譜の指示を守り、早いパッセージの中のスタッカートとスラーを弾き分けています。他のCDで耳を慣らされて単なる同じ音符の連続だと思い込んでいる部分に、実はローベルトは細い指示を出し、絶妙なニュアンスを埋め込んでいた事をこのCDから教えられます。クララの曲なんてどうでも良いと思っている人にも、ローベルトの協奏曲の名演故にこのCDはお勧めです。
このCDも、二枚組みのCDも以前はHMVやTower Recordの店頭にありましたが、最近見掛けなくなりました。2001年9月現在、二枚組みのCDの方がAmazon.comに掲載されていますが、Spacial
Orderになってしまいました。廃盤か、限りなくそれに近い状態の様です。
Modified in September 2001
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