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Scenes from Fairyland :
Music of Robert and Clara Schumann
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Jonathan Bagg (Va), Jane Hawkins (Pf), Donald
L. Oehler (Cl)
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レーベル;CENTAUR(米国) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;CRC 2581 |
お気に入り度;★★ |
録音年月日;2000年5月6日-8日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★ |
収録時間;60分18秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン;おとぎの絵本・作品113
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ローベルト・シューマン;幻想小曲集・作品73
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クララ・シューマン;ヴィオラとピアノの為の三つのロマンス・作品22(原曲はヴァイオリン&ピアノ)
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ローベルト・シューマン;アダージョとアレグロ・作品70
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ローベルト・シューマン;クラリネット、ヴィオラとピアノの為のお伽話・作品132
コメント
ローベルトのおとぎの絵本・作品113の英語名「Scenes from Fairyland」をCDのタイトルにした、ヴィオラとピアノを中心とするシューマンの室内楽を集めたCDです。その中にクララの作品22「ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス」をヴィオラで演奏したものが収録されています。この曲はこれまでオーボエ、チェロで演奏されたものはありましたが、ヴィオラ演奏はこのCDが初めてです。
このCDの奏者は全て大学の先生で、ヴィオラのJonathan BaggとピアノのJane
Hawkinsは米国のデューク大学の助教授、クラリネットのDonald L. Oehlerはノースカロライナ大学の教授です。
大学の先生、という訳ではないのでしょうが、ローベルトの曲の演奏は誠実でストイックなものになっています。冒頭の作品113もそれなりにヴィオラとピアノが歌いますが、情感表現が全面に出ることは無く、楽譜に書いてある範疇からさほど踏み出していない気がします。同じ曲を今井信子さんとアルゲリッチの演奏で聴くと、その表現の違いに驚くほどで、後者のふたりはシューマンの楽譜を題材として、完全にふたりで歌い合っている演奏になっています。私個人はこの様な演奏が鼻につくことも有りますが、しかし一般的には今井さんとアルゲリッチの演奏の方が好まれるでしょう。
この傾向は幻想小曲集・作品73、アダージョとアレグロ・作品70でも同じです。ヴィオラとクラリネットの為のおとぎ話・作品132は私にとって初めてのCDになりますので、何とも言えませんが、ヴィオラ、クラリネットともにもう少し艶やかに歌ってほしいなぁと思う演奏です。
さて、世界初録音となるヴィオラによるクララの作品22の演奏に話を進めましょう。
ヴァイオリンとヴィオラでは音域が異なりますので、ヴァイオリンで曲をヴィオラで弾く場合には5度下に移調する事が多いと思います。バッハ無伴奏おたくの私は、ヴィオラで演奏するシャコンヌを数枚持っていますが、全て5度下に移調しています。しかし意外なことにクララの作品22はオリジナルの調性で演奏されています。結果としてヴィオラではそのままでは演奏できないパートが発生し、これから高まって行く!という場所で突然オクターブ下がってしまい、拍子抜けしてしまいます。演奏は妖艶とは言えませんが誠実なもので、ピアノの響かせ方もヴィオラのヴィブラートの利かせ方も心配りが効いているだけに、オクターブ移行が残念です。世界初のヴィオラ演奏によるクララのロマンスという事で期待が大きかったのですが、ちょっと期待はずれでした。
このCDは輸入盤を取り扱うCDショップを通じてか、又は直接海外発注しないと入手できないと思います。
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