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CLARA UND ROBERT SCHUMANN
INSTRUMENTAL KONZERTE
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Elena Margolina (Pf), Hornquartett des Gevandhausorchestres
Leipzig,
Doron Salomon (Cond), Vogtland Philharmonie
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レーベル;ARS Production(ドイツ) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;FCD368390 |
お気に入り度;★★★★★ |
録音年月日;2000年3月8日-10月24日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★★★ |
収録時間;79分14秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン;4つのホルンとオーケストラの為のコンツェルトシュテュック・作品86
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クララ・シューマン;ピアノ協奏曲・作品7
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ローベルト・シューマン;ピアノとオーケストラの為の協奏楽章 ニ短調(1839年未完)
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クララ・シューマン;ピアノ協奏曲 ヘ短調(1847年・未完)
コメント
シューマンおたく泣かせのCDの登場です。私の知る限りにおいて、ローベルトの未完のピアノ協奏曲(ピアノとオーケストラの為の協奏楽章)1839を聴く事の出来るCDはこれが2枚目、クララの未完のピアノ協奏曲1847は3枚目です。4つのホルンとオーケストラの為のコンツェルトシュテュックを聴くことの出来るCDも指折り数えるほどしかありません。クララのピアノ協奏曲作品7がこのCDの収録曲の中では最も容易にCDを入手できる曲という、何とも稀有なCDです。某会長は4つのホルンの為のコンツェルトシュテュックが、オリジナルのピアノとオーケストラのバージョンであったら完璧だったのに!と申しておりましたが、私個人はそこまで行かずとも、冒頭は素直にローベルトの名曲、ピアノ協奏曲・作品54であれば、夫妻が残した作品番号付きの協奏曲と、未完の協奏曲をペアで聴けるので、バランスが良かったのになぁ、と思っています。
冒頭の4つのホルンの為のコンツェルトシュテュックは、レアな曲だけに私も比較できる演奏を多くは持っていません(このCDの他は2枚のみです)。なので演奏を評し難いのですが、このオーケストラとライプツィッヒゲバントハウスのホルンカルテットの演奏は素直に耳に入ってくる良さがあります。良い形容表現が見つかりませんが、非常にバランスの良い演奏と言えましょう。
クララのピアノ協奏曲・作品7はこの曲の録音の中ではかなりの名演だと思います。録音後発組である為か、他の演奏を良く研究しているようで、下手に弾けばピアノやオーケストラの各パートの音が混ざりあって濁った感じになりがちなこの曲を上手く手懐けています。ピアノの音を粒立ち良く録音することに加えて、オーケストラやピアノの瞬間瞬間の各パートごとのメロディラインをハッキリとさせることで、音が混ざって濁る事を避けています。この手法はAngela
Cheng盤で初めて見られた演奏スタイルですが、Angela Cheng盤以上に各パートの存在感が鮮やかで、聴き飽きません。
テンポは全体的にゆったりととられ、クララらしさを十分に発揮しています。第二楽章のチェロとピアノの掛け合いも美しく申し分ありません。
ローベルトの未完のピアノ協奏楽章ですが、このCD以前には超絶技巧派のJennifer
Eleyの録音しか有りませんでした。彼女の演奏はとても荒々しく、ローベルトの曲が本来持つべきデリカシーとリズムの妙に欠けていたと思っています。一方でこのCDのElena
Margolina嬢のピアノは優しさも柔らかさもテクニックもあり、ローベルトの未完の協奏楽章を初めて本来の姿で私の耳に届けてくれたと言えます。Jennifer
Eley盤の時に私はこの曲をローベルトらしくないと感じ「評価しにくい曲」と書いたのですが、Elena
Margolina嬢の演奏ならばローベルトの心に触れる事が出来ます。良い演奏です。
最後のクララの未完のピアノ協奏曲も名演です。クララの曲としては異例の壮大さを持つこの曲をとても壮大に、それでいてデリカシーも併せ持った演奏に仕立てています。相変わらずピアノの音の粒立ちが良く、オーケストラパートも濁ることなくピアノとがっぷり四つに組んで曲を紡ぎ上げています。Diana
Ambache盤もLucy Parham盤もそれなりに名演でしたが、それ以上に魅力的な演奏になっています。
ピアニストのElena Margolinaは1964年ウクライナ生まれで、現在はドイツで活躍しているそうです。
このCDは発売直後には大手輸入CDショップの店頭にありましたが、その後は見かけなくなりました。入手には輸入盤ショップにオーダーするか、海外発注が必要でしょう。
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