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Clara & Robert Schumann
Piano Concertos
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Margarita Hohenrieder (Pf), Johannes Wildner
(Cond), Neue Philharmonie Westfalen
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レーベル;BMG |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;74321 89793 2 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;2000年4月18日-2001年2月27日 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;50分37秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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クララ・シューマン;ピアノ協奏曲イ短調・作品7
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ローベルト・シューマン;ピアノ協奏曲イ短調・作品54
コメント
このCDのクララのピアノ協奏曲を聴いて直ぐに「こういう演奏方法もあるよな〜♪」と思いました。ちょっと個性的で存在感のある演奏です。
クララの第一楽章はテンポが速く、オーケストラもピアノの音も溌剌としていて、粒立ち良くメロディを刻んで行きます。クララ本来の繊細さとかナイーブさとは違う路線かも知れませんが、オーケストラとピアノの絡み合いが難しくて演奏効果のあげにくいこの曲の第一楽章を、両者が共に際立つ事で上手く聴かせている感じです。音が溌剌とは言っても、フォルテでも決して荒々しくなったりはせず、多少禁欲的な印象の中にもロマンティックな香りも保っています。Hohenriederのピアノのタッチコントロールはかなり上手いと思います。
第二楽章は一転してテンポを落とし(これが本来の姿ですが)、しかしピアノの音を余り弱音にせず、一つ一つの音の粒をクリアにして弾いて行きます。これはこれで仲々に味わいのある第二楽章ですが、後半のチェロとのデュエットではピアノが伴奏に回る一方で、主役のチェロの歌が余り艶かしくないので、ロマンティックなデュエットの印象は薄く、少し残念です。
第三楽章は第一楽章同様に、粒立ちの良いピアノとオーケストラの関係に戻ります。両者の掛け合いも上手く、推進力をもってぐいぐい突き進むので、楽しく聴く事が出来ました。HohenriederとWildner,
Neue philharmonie Westfalenの演奏は、全体的に速めのテンポの中に力強さとロマンスを埋め込んだ感じで、クララのピアノ協奏曲で出やすい演奏の粗を上手く回避しており、初めてこの曲を聴く人に満足感を与えられる好演だと思いました。
ローベルトのピアノ協奏曲ですが、こちらは既に星の数ほども録音があり、独自の個性を発揮する事は難しいと思います。このCDの演奏はやはり個性的とは言えないものの、現代的な演奏としては水準以上だと思います。曲全体が推進力に溢れた演奏で、強奏部分でもピアノは荒々しくならず、音も明快です。イジワルして分析的に聴いても破綻を見つける事は困難です。
ただ「現代的な演奏」と称したように、ピアノパートをロマンティックに綺麗に弾いてしまう傾向があり、クララ愛弟子のファニー・ディヴィスや孫弟子のソロモンが弾くような、楽譜に忠実に、スタッカートや付点指示を守ってローベルト独特のリズム感を生み出す物にはなっていません。念の為に申し添えると、ローベルトのピアノ協奏曲のCDは沢山持っていますが、クララ直伝的な演奏をする現代のピアニストは2人しか知りません(Lucy
ParhamとKlara Wurtz)ので、その演奏スタイルを現代クラシック界に求めるのは酷なようです。
Margarita Hohenrieder(最初のoにはウムラウトが付きます)はドイツ・ミュンヘン生まれ、ブゾーニピアノコンクールでの優勝経験を持つピアニストです。7歳で既にコンサートホールの舞台に登り、その後ピアニストとしての経歴を積み重ねるも、息子の誕生で一旦はコンサートピアニストとしての活動を止めたそうですが、ジェームス・レヴァインの誘いを受けて、また舞台に戻る決心をし、現在に至っているそうです。何となくクララの人生に似ているような気がしますね......
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