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schumann
sawallisch
the philadelphia orchestra
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Wolfgang Sawallisch (cond & Pf), The
Philadelphia Orchestra
Thomas Hampson (bariton), Leonidas Kavakos (Vn),
etc.
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レーベル;The Philadelphia Orchestra Association |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;自主制作盤 (UPC Code: 6 79211 20032 7) |
お気に入り度;★★★★★ |
録音年月日;2002年10月11日-2003年4月26日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★ |
収録時間;Disc 1; 70分59秒, Disc 2; 63分38秒, Disc 3; 70分08秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
Disc 1
1. ローベルト・シューマン:交響曲第一番「春」・作品38
2. ローベルト・シューマン:交響曲第二番・作品61
Disc 2
3. ローベルト・シューマン:交響曲第三番「ライン」・作品97
4. ローベルト・シューマン:交響曲第四番・作品120
Disc 3
5. ローベルト・シューマン:マンフレッド序曲・作品115
6. ローベルト・シューマン:バイオリン協奏曲・WoO23
(バイオリン:Leonidas Kavakos)
7. クララ・シューマン:歌曲・作品12-4「Liepst du um
Schonheit 美しさゆえに愛するのなら」
8. クララ・シューマン:歌曲・作品12-11「Warum wilst
du and're frogen なぜ他の人に尋ねるのか」
9. クララ・シューマン:歌曲・作品13-1「Ich stand in
dunkein Traumen 私は暗い夢の中で立っていた」
10. クララ・シューマン:歌曲・作品13-2「Sie liebten sich beide 彼らは愛し合っていた」
11. クララ・シューマン:歌曲・作品13-3「Liebeszauber 愛の魔法」
(ピアノ:Wolfgang Sawallisch, バリトン:Thomas Hampson)
12. ローベルト・シューマン:アンダンテと変奏・WoO10
(ピアノ:Wolfgang Sawallisch, Rudolf Buchbinder, チェロ:Lloyd
Smith, Efe Baltacigil, ホルン:Nolan Miller)
コメント
フィラデルフィア管弦楽団協会から自主制作盤として発売された、御大サヴァリッシュによるシューマン交響曲全集です。
まず結論めいた事を書けば、シューマンファンならばこのCDは是非にも買うべきでしょう。シューマンの交響曲全集としては白眉の演奏だと思います。
サヴァリッシュのシューマン交響曲全集と言えば、ドレスデン・シュターツカペレと録音した1972年盤が名盤の誉れ高く、私もローベルトの交響曲が聴きたくなった時に、数あるCDの中から自然とサヴァリッシュ盤に手が伸びました。しかし旧盤から30年の月日を経て再録音し、しかもそれを大手レーベルからではなく自主制作盤として発売したこの録音は、旧盤から更に数段ランクアップした演奏になっていると思います。数々のオーケストラの曲を聴いてきた中で、この録音程に「全ての音に余裕と自信が感じられ、難しいパッセージでも何ら戸惑いも無く音が出てくる」印象を与えてくれるものは他にありません。そこには演奏者の存在すら忘れさせて、「空気の中にただ完全なる音楽が漂っている、とさえ感じさせてくれました。
私個人にとっては最上級の演奏ですが、まあ、演奏の評価は価値観や好みで変わるので、これ以上語るのは止めておきましょう。
ローベルトの交響曲全集は通常CDが2枚ですが、この全集は3枚組みです。交響曲の演奏の素晴らしさに加えて、このプラス1枚こそがこのCDをシューマンファン感涙の全集にしています。
3枚目には管弦楽曲、協奏曲、歌曲、室内楽が収められていますが、ローベルトの曲からこのジャンルの曲を一つづつ選択するとすれば、通常はどうなるでしょう?まあ、順当に行けば、マンフレッド序曲またはゲノフェーファ序曲、ピアノ協奏曲、詩人の恋またはリーダークライス、ヴァイオリンソナタまたはピアノ五重奏曲あたりでしょうか?しかしサヴァリッシュが選曲したのは、マンフレッド序曲は順当として、ピアノ協奏曲の代わりにヴァイオリン協奏曲、ローベルトの代表的歌曲の代わりに、妻クララの歌曲、そしてヴァイオリンソナタの代わりに二台のピアノ、二台のチェロ、ホルンによるアンダンテと変奏です。どれも今日演奏機会が少なく、しかしそれは世に知られていない事が不当と言える名曲が選ばれています。地球上のシューマンファンの頂点に立つサヴァリッシュに相応しい選曲、私たちへの素敵なプレゼントとしか言い様がありません。オーケストラ曲の指揮は当然として、歌曲と室内楽のピアノもサヴァリッシュ御大が担当しています。クララの歌曲の演奏評は次に書くとして、マンフレッド、バイオリン協奏曲、アンダンテと変奏のどの演奏も当然ながら高水準で、何度聴いても飽きません。
さて、本題のクララの歌曲ですが、女声で歌われる事の多いクララの歌曲をバリトンのトーマス・ハンプソンが歌っています。流石はサヴァリッシュ御大のピアノ伴奏で歌うだけあって、情感の込め方、ニュアンスの豊富さはクララの歌曲歌唱の中では最右翼です。見事としか言い様がありません。しかし、この歌唱を私が好きかと言われれば、さにあらず(^^;。ハンプソンの演奏は喩えるならば、見事にまでに精緻な金蒔絵の伝統工芸品の様な出来栄えです。それが好きな人には最上級。しかし私はクララの歌曲に、無地の紙に大きく余白を残して、一輪の可憐な花をシンプルに描いた絵のような歌唱を求めます。やっぱり女声ソプラノで、情感は最大限に込めつつも清楚な歌唱が好きですね。その観点で未だラン・ラオ盤を超えるCDはありません。
という事で、このCDはシューマンの交響曲全集としては文句無く太鼓判!。しかしクララの曲のCDとしては太鼓判無しとしておきましょう。
このCDは自主制作盤で当初はフィラデルフィア管弦楽団のサイトでしか購入出来ませんでしたが、知名度の高いサヴァリッシュの演奏とあって、直ぐに大手輸入CDショップの店頭に置かれるようになりました。2005年現在でも入手可能です。
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