ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|
JOHANNES BRAHMS Klavierkonzert
Nr.1
CLARA SCHUMANN Klavierstucke
|
Gottlieb Wallisch (Pf), Kirill Petrenko (Cond.),
Radio Symphonieorchester Wien
|
レーベル;ORF |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;CD 313 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;2002年4月 (Brahms), 9月 (Clara) 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;65分29秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
-
ヨハネス・ブラームス :ピアノ協奏曲第一番・作品15
-
クララ・シューマン :三つのロマンス・作品21
-
クララ・シューマン :ローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20
コメント
ピアニストのゴットリープ・ヴァリッシュはウィーン生まれ。ウィーン大学で音楽を学び、1995年にストラヴィンスキーアワードで第1位を獲得したとありますので、まだ若いピアニストです。2005年5月には来日してシューマンやモーツアルトのピアノ曲を演奏したので、その名を耳にした方もおられるかも知れません。
指揮者のキリル・ペトレンコは1972年にロシアで生まれたとありますので、録音時点で30歳という新進気鋭の指揮者です。ウィーン放送交響楽団という名前のオーケストラは、従来はこのCDのレーベル名であるORF交響楽団という名称で1969年に設立されました。
この若い集団によるブラームスのピアノ協奏曲第1番の演奏は、主にピアニストの表現力の上手さによって味わい深い、最初のピアノの音から引き込まれる好演になっています。ヴァリッシュのピアノタッチと演奏解釈は、ブラームスのこの協奏曲特有のスケールの大きさ、凛とした気高さの中に優しさと哀愁に満ちたロマンスを同居させる事に成功しています。惜しいのはオーケストラで、もう少し豊潤な響きがあれば万全なのですが、高音域の弦と木管が少しヒステリックに響きます。しかしそれ以外の面ではピアノにぴったり寄り添う、息の合った演奏をするので、自然に演奏に引き込まれて行きます。このCDは10回以上繰り返して聴きましたが、ブラームスに関しては飽きませんでした。
クララの曲はピアノ独奏ですが、ヴァリッシュの演奏は一言で表現すれば「溜めが少し足りない、あっさり目の演奏」で、クララのピアノ曲の持つ繊細さを表現するに至っていない気がします。
3つのロマンス・作品21の第1曲はクララのアンダンテの演奏に求められる「前の音の減衰を十分に味わいながら次の音符を奏でる」という印象が少し不足していて、聴いていると「え、もう次の音符を弾いちゃうの?」と思う事が結構ありました。微妙な女心のリズムを表現するにはヴァリッシュは少し経験不足という事でしょうか。
第2曲と第3曲はリズミカルな曲なので、ヴァリッシュスタイルでも聴いていて楽しい演奏になっています。ピアノの音の粒立ちが綺麗に揃っているので、第3曲の様な速いリズムの曲ではキラキラとした美しさが光ります。
ローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20でも基本的な印象は変わりません。美点はピアノの音が美しく、速い部分での粒立ちが良いところ。私が気に入らない点は主題への愛情不足か、主題の一音一音を味わう感覚がなく、事務的に主題を処理してしまう所です。最終変奏のクララの作品3の主題とローベルトの作品99の主題が絡み合うところも、クララの主題がサクサク演奏されてしまうので、作品3が本来持っている少女クララの可憐さと思慮深さが表現されていません。要所要所では速度を落としてニュアンスを付けているのは分るのですが、肝心の主題の扱いに愛情が感じられないので、今一つの演奏になっています。タッチが荒い訳でも無く、全体のテンポが速すぎる訳でも無いので、大まかに聴くと良い演奏なのですが..
ホームに戻る 所有CDリストに戻る 手前のCD解説 次のCD解説
|