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Robert Schumann Klaviertrios
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Hyperion Trio
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レーベル;THOROFON |
入手性;輸入現行盤 |
CD番号;CTH 2533/6 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;2004年10月〜2005年2月 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;68分00秒+66分48秒+58分28秒+69分23秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
CD1
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フランツ・シューベルト:ピアノトリオ第一番変ロ長調・作品99/D898
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ローベルト・シューマン:ピアノトリオ第一番二短調・作品63
CD2
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ローベルト・シューマン:ピアノトリオ第二番へ長調・作品80
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ヨハネス・ブラームス:ピアノトリオ第一番ロ長調・作品8
CD3
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フェリックス・メンデルスゾーン:ピアノトリオ第一番二短調・作品49
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フランツ・リスト:オーベルマンの谷
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ローベルト・シューマン:ピアノトリオ第三番ト短調・作品110
CD4
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クララ・シューマン:ピアノトリオ ト短調・作品17
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ローベルト・シューマン:幻想小曲集・作品88
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ヨハネス・ブラームス:ピアノトリオ第二番ハ長調・作品87
コメント
ハイペリオン・トリオによるシューマンのピアノトリオ全集ですが、ブラームス、シューベルト、メンデルスゾーン、リスト、そしてクララの曲も併せて収録されています。
英国クラシックCDのメージャーレーベルに「Hyperion」がありますので、てっきりそのCDレーベルが興したピアノトリオかと思っていましたが、CDを購入してライナーノーツで確認すると、Hyperionとは関係のない1999年に設立された若い演奏家によるピアノトリオでした。このトリオのCD録音は2007年時点でこれのみで、発売レーベルはHyperionとはライバル関係にあるドイツのTHOROFONです。
メンバーですが、ピアニストはHagen Schwarzrock(男性)で1971年ドイツ・ヒルデスハイム生まれ。ハノーバー、フライベルグ、ライプツィヒ等の音楽院で学び、現在はライプツィヒ音楽院で室内楽を教えています。
バイオリニストはOliver Kipp(男性)で1969年ドイツ・ヒルデスハイム生まれ。ハノーバーとベルリンの音楽院で学び、現在は北ドイツ放送交響楽団の第二バイオリンのリーダーをしています。
チェリストはKatharina Troe(女性)で1970年ドイツ・ゲッティンゲン生まれ。カールスルーエとケルンの音楽院で学び、ケルン音楽大学でチェロを教えています。
4枚組み、総演奏時間4時間半に及ぶこのCDセットを何度か聴きましたが、ここでコメント出来ることはさほど多くありません。まず4枚目のCDに収録されているクララのピアノトリオですが、演奏に破綻が無く、分析的に聴いても不満がありません。全ての音やパッセージが余裕をもって奏でられて、ニュアンスも込められています。演奏に荒々しいところは皆無で、模範的とも言える演奏です。しかし、全体を聞き通すと何か物足りないのです。それはほとばしる情熱。クララの曲に対する思い入れとか、奏者三人のぶつかり合いが殆ど感じられず、細部は決して淡泊では無いのに全体を俯瞰するとクールで優等生的な演奏に感じられます。
この傾向はローベルトのピアノトリオや幻想小曲集でも同様に感じられます。聴いている瞬間瞬間は「上手いなぁ!」と感じさせるのですが、演奏が終わると後味が薄口なのです。
では、このトリオが常に後味が薄口の演奏をするのかと言えばそうでは無くて、ブラームスやシューベルトのトリオになると情熱を持って三人が語り合っている演奏が繰り広げられます。どの演奏者にも十八番(おはこ)があると思いますが、ハイペリオントリオの十八番はブラームスやシューベルトなのだろうと思わせます。実際、彼らは国際ヨハネス・ブラームス・コンクールで室内楽の賞を受賞しているので、やはり思い入れが違うのでしょう。このCDはローベルト・シューマンのピアノトリオがメインになっていますが、この様に聴き所はシューマン夫妻以外のピアノトリオにあります。
少し辛口のコメントになりましたが、全体として演奏レベルは高いので、ロマン派のピアノトリオを集めるのなら良いCDと言えましょう。
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