シューマン夫妻の家の中庭


門を入って、薄暗い通路を抜けると緑に包まれた中庭が見えてきます。
これが現在の中庭の情景です。綺麗に手入れされていました。この中庭は奥に有る建物の住人の通路も兼ねているようでした。
中庭側から見た、シューマン夫妻の建物の裏側です。この窓の奥でローベルトやクララ、マリエやオイゲニーが生活していたんですね。そしてブラームスも...
この中庭の撮影をしている時に、原田さんの本の一つの文章が頭をよぎりました。それはローベルトが投身自殺未遂を図った時の、長女マリエの回顧録で、
「母は医者と話したく思って私を呼び、気をつけて父の部屋に続く控室にいるようにと言った。私がしばらくのあいだ母の机の前に座っていると、隣室のドアが開いて長い緑色の部屋着を着た父が戸口に立っていた。父の顔色は蒼白であった。父は私を見ると顔の前に手をあて、「おや!」といって、また部屋の中に入ってしまった。私はまるで全身麻痺したように、ちょっとのあいだ座ったままでいたが、母が私をその部屋にいさせた理由を思い出したので、父の部屋に入ってみた。部屋はからで、続く両親の寝室から庭園に向かった正面のドアが、大きく開かれたままになっていた。
この「寝室から庭園に続くドア」がどれか探してみました。
建物の構造を見ると、この写真に写っている青いドアのある建物と、その奥の建物は構造が違っており、内部も繋がってはいないようです。だから、この一階だけ突き出た部屋が「両親の寝室」で、この青いドアがローベルトがライン川に向かう際に「開きっぱなし」にしたドアではないかと思われます。
現在ここはは陶芸の作業場の様な場所になっており、ドアには青いのれんが掛かっています。多分このドアからローベルトは部屋を抜け出した物と思われます。

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