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Romances
Music of Robert & Clara
Schumann
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William Purvis (Horn), Mihae Lee (Pf)
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レーベル;BRIDGE |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;BRIDGE 9164 |
お気に入り度;★★★★ |
録音年月日;2003年6月10-13日 録音;DDD |
資料的貴重度;★★★ |
収録時間;61分54秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
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ローベルト・シューマン:幻想小曲集・作品73
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ローベルト・シューマン:5つの民謡風小品集・作品102
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ローベルト・シューマン:アダージョとアレグロ・作品70
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ローベルト・シューマン:三つのロマンス・作品94
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クララ・シューマン:ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22(ホルン演奏)
コメント
シューマン夫妻の室内楽をホルンとピアノで演奏したCDです。このCDに収録されたローベルトの室内楽は、本来クラリネット、チェロやオーボエあたりを想定して作曲されたものです。オリジナルにホルンの楽器指定もある「アダージョとアレグロ・作品70」を除けば、ホルンでこれらの曲を演奏したCDは極めて少ないと思います。私のシューマンCDコレクションを調べてみても、「アダージョとアレグロ」のホルン演奏は3種類ありましたが、他には「5つの民謡風小品集・作品102」をイングリッシュホルンで演奏したCDが一枚あるのみでした。もちろん、クララの三つのロマンス・作品22をホルンで演奏したCDはこれが世界初です。
力を抜いてのんびりシューマンの室内楽を楽しむのなら、これはとても良いCDだと思います。ホルンは早い節回しが不得意なので、PurvisとLeeによる演奏はゆったりとしています。加えてホルンの音色はまろやかで重心が低く、温厚な人柄を感じさせますので、聴いているこちら側もゆったりと、柔らかな気分になります。他の楽器では得られない「のほほん」とした世界がここにあります。
逆に言えばこのCDを分析的に聴いてはダメです。早い節回しが不得手なので、時折音符を省略している部分もあります。しかし音楽の本質においてシューマンの世界をきちんと表現しているので、のんびり聴きましょう。
クララの作品22は、原曲のヴァイオリンとピアノだと、ヴァイオリンが女性、ピアノが男性役でデュエットを奏でるのですが、チェロ並に音の重心が低く、まろやかな音色のホルンによる演奏では主客逆転で、明るく可愛らしいピアノの音を包容力のあるホルンの音が支えるバランスになっています。この演奏はヴァイオリンの物に比べると独特で、テンポを極めてゆっくりなものにして、原曲の持つ細かな音符の動きを意図的に廃し、非常にゆったりとした曲に変身させています。それに伴うピアノの方も、本来あるべきスタッカート等を廃して、ゆったりと流れるせせらぎの様な伴奏になっています。演奏時間は12分30秒で、ヴァイオリン演奏としてはゆったりとした演奏のGelius盤が9分46秒ですから、如何にのんびりとした演奏かがおわかり戴けると思います。
この演奏はオリジナルのヴァイオリン演奏と同じ調性で行われていますが、その場合に問題になるオクターブ移行は第1曲の中で一回のみ行われ、しかもその部分の節回しを原曲から変えているので、違和感を上手く消しています。
ホルン奏者のWilliam Purvisはアメリカ生まれ、ピアニストのMihae Leeは韓国ソウル生まれで、現在はいずれもアメリカで活躍しているそうです。このCDに収録された曲のホルンへの編曲はPurvisが担当しています。
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