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Intermezzo
インテルメッツォ 〜シューマン作品集〜
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磯部周平(Cl)、岡崎悦子(Pf)、松尾賢一郎(Cl)
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レーベル;マイスター・ミュージック |
入手性;国内現行盤 |
CD番号;MM 1195 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;2005年9月27,29日 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;61分04秒 |
音質 ;★★★★ |
収録曲
(注釈無き曲は全てクラリネットとピアノによる演奏です。)
ローベルト・シューマン:
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3つのロマンス・作品94
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アダージョとアレグロ・作品70
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美しい5月に(詩人の恋・作品48-1)
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明るい夏の朝に(詩人の恋・作品48-12)
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間奏曲(リーダークライス・作品39-2)
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月の夜(リーダークライス・作品39-5)
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夕べの歌(小さな子供と大きな子供の為の12の連弾小品集・作品85-12)
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スケルッツォ(ヴァイオリンソナタ第3番、第2楽章)
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インテルメッツォ(ヴァイオリンソナタ第3番、第3楽章)
ペダルフリューゲルの為のカノン形式の練習曲・作品56より(二つのクラリネットとピアノによる演奏)
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第2曲:Mit innigem Ausdruck
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第3曲:Andantino - Etwas schnell
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第4曲:Innig
クララ・シューマン:
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ヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22
ヨハネス・ブラームス:
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間奏曲・作品118-2
コメント
クララのヴァイオリンとピアノの為の三つのロマンス・作品22をクラリネットで演奏した世界初のCDであり、また日本人だけの演奏家によるクララの室内楽の二枚目のCDです。ちなみに前回解説した岡田光樹さんのCDの発売が2005年12月15日、磯部周平さんのCDが2005年12月24日なので、まさにタッチの差の二枚目です。
磯部さんはNHK交響楽団の首席クラリネット奏者、岡崎さんは武蔵野音楽大学の助教授でありNHKへの出演も多いとの事なので、NHKが取り持つ関係かも知れません。
このCDにおけるクラリネット演奏は、全曲を通じて一つの美学に統一されていると感じました。それはテンポや音の強弱によってニュアンスはつけても、ビブラートの様な感傷的に音を揺らす事を一切排除し、純粋なクラリネットの音を愉しむという点です。全ての曲を通じて急ぎ過ぎないテンポで、一つ一つの音を大切に演奏されています。
この音楽を私個人が好きか?と言われると残念ながらイエスとは言い難いです。このCDを繰り返し繰り返し聴きながら、この音楽を例えるなら何だろう?と考えていました。事務的では無いし、音は純粋だけど、あっさりしている。 ...思いついた例えが、素麺です。どこまでも白く、均質な太さの素麺。しかし私個人はローベルトやクララ、そしてブラームスの曲にはもう少し甘さや苦さ、甘酸っぱさが欲しいと思うのです。
世界初録音で期待度の大きかったクラリネットによるクララの作品22ですが、全体を通じた印象は上記の通り、あっさりし過ぎている演奏です。原曲ではヴァイオリンが若きクララで、愛するローベルト(ピアノ)に愛らしく甘えるように語りかける音楽ですが、甘さはここに有りません。またクラリネットは音域が合わないのか、オクターブ移行が何度か現れますので、その点も聴衆側の心の高まりを抑制してしまいます。
念の為に木管楽器の演奏ではこの曲のリファレンスにしている、シェレンベルガー(オーボエ)/クーネン(ピアノ)の演奏を聴き直しましたが、こちらは磯部さん以上にゆったりとしたテンポ、芳純なビブラートを交えて極めて愛らしくオーボエがピアノに語りかけています。作品22にはやっぱりこの愛らしさが大切だと思います。
もう一つ私の期待の高かった演奏が、ブラームスの間奏曲・作品118-2です。好きなピアノ曲を挙げなさい、と言われれば文句無く私のベスト5に入る曲ですし、一般的なアンケートを取っても小曲でありながら常に上位にランクされる名曲ですよね。この曲をピアノ独奏以外で演奏する録音は殆ど皆無と言えるので、どの様な音楽になるのかワクワクしていました。しかしこのCDの演奏は出だしのメロディの三つ目と六つ目の音(赤枠)の溜めが全く無く、他のパートもサクサクと演奏が進み、非常にあっさりとしていて、期待外れでした。
この曲のピアノ独奏以外の演奏としては、ヴァイオリンとピアノによるものを持っていまして、こちらはヴァイオリンの持つ甘い音色が作品118-2の性格に溶けあって楽しめる演奏でした【Johannes
Brahms, In memory of rain. Eunice Lee (Vn), Nelson Padgett (Pf), Samsung
Classics SCC-015EUN】。但しこちらのCDの入手は難しいかも知れません。
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