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The Poetic Piano
 spirituality and music
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Judith Alstadter (Pf)
 
 
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| レーベル;Orchard | 
入手性;輸入現行盤 | 
 
| CD番号;4428  (JA25) | 
お気に入り度;★★★ | 
 
| 録音年月日;不明(Copy Right表記は1998) 録音;DDD | 
資料的貴重度;★★★ | 
 
| 収録時間;64分06秒 | 
音質    ;★★★ | 
 
 
 
 収録曲
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イントロ・トーク
 
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バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
 
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トーク
 
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ベートーベン:ピアノソナタ「悲愴」第2楽章
 
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トーク
 
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ブラームス:間奏曲・作品119-3
 
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ブラームス:間奏曲・作品116-6
 
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ブラームス:バラード・作品118-3
 
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トーク
 
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クララ・シューマン:即興曲・ホ長調(1844) (注釈参照)
 
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クララ・シューマン:スケルツォ第2番・作品14
 
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トーク
 
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フォーレ:夜想曲・作品33-3
 
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フォーレ:夜想曲・作品107-12
 
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トーク
 
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サティ:三つのジムノペディ
 
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トーク
 
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ショパン:エチュード・作品10-3「別れの曲」
 
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ショパン:ワルツ・作品34-1
 
 
注:即興曲(1844)について、CD及びネットショップ上の表記ではImpromptu
Op.9(即興曲ウィーンの想い出・作品9)となっているが、実際にはImpromptu(即興曲・ホ長調、1844年作曲、作品番号無し)が収録されている。
 
 
 コメント
有名作曲家の著名曲を集めて、音楽と作曲家についての簡単な説明を交えながら演奏を進めて行くレクチャーコンサートとでも言いましょうか、あるいはもっと小規模アットホームな感じなので、トークサロンと表現する方が相応しいかも知れません。曲目を見れば誰もが知っている大作曲家と、殆どの人が聴いたことのある著名曲で占められていますが、何故かそこにクララ・シューマンの極めてレアな曲が紛れ込んでいます。
 まずCD全体の構成ですが、演奏は作曲家毎にまとめられて、複数の曲が採り上げられている作曲家についても曲はインデックスで分けられる事なく連続して演奏されます。作曲家毎の曲と曲の間にトークが挿入されて、そこでは多くの評論家、演奏家、他の作曲家の言葉を引用しながら、音楽の意味、音楽が人間にもたらす物、音楽によって作曲家が目指した物、そしてこれから演奏される曲とその作曲家について語っています。一回あたり1〜2分の短い物です。
 トークの内容は目新しい物では無く、必ずしも続く曲を聴く上での参考になっているとは思えません。冒頭のイントロ・トークでAlstadterは「音楽を語る事は神を語るような物だ。あまり多くを語らずに、ただ多くを聴いて感じる方が良い」と述べていますが、これが象徴するようにこのトークは不要のような気がします。
 演奏の方は良くも悪くもアットホームなトークサロン用になっていて、BGM的に聞き流すなら粗も無くて聴きやすい演奏になっています。しかし音楽に対峙して聴こうとすると、演奏にあまり深みが無いのでやや欲求不満になります。ピアノの音も現代ピアノとしては少し軽く、録音もレンジが余り広くありませんし、収録曲も他で容易に入手出来るものばかりなので、音楽を聴くためにこのCDを入手する意味は殆ど無いでしょう。
 さて、バッハ、ベートーベン、ブラームスと来て、次は当然ローベルト・シューマンかと思いきや、クララが突然に登場します。Alstadter自身も手前のトークで「次はシューマン、とは言ってもローベルトではなく、クララ・シューマンです。彼女は当時著名なピアニストで、また音楽教授と作曲家としても有名でした。(中略)クララ・シューマンは私の精神的な母です」と紹介しています。
 そしてクララの曲の演奏....CDにはImpromptu Op.9と書いてあったので、即興曲・ウィーンの想い出・作品9の冒頭、聴き慣れたハイドンの皇帝讃歌のテーマが流れるのかと思ったら、キラキラと輝くような軽やかで華麗なメロディ。何と極めてレアなImpromptu
E Major(即興曲・ホ長調)が聞こえてきました。この曲は過去にBeenhouwerの全集と、Veronica
Jochumのピアノ曲集に収録されているのみで、このCDが世界三番目の録音になります。演奏は比較的ゆったりとしたテンポで丁寧にされて、まずまず良い演奏です。
 続くスケルツォ第2番・作品14も、急速なテンポを持つこの曲としてはやや遅めのテンポで演奏されて、ダイナミックさよりも音符と音符の掛け合い表現に注力した物になっています。
 即興曲・ホ短調が収録されていたのは嬉しい誤算ですが、ピアノの響き、音楽の華麗さ共にこの演奏よりも上の、Josef
de Beenhouwerの全集が渋谷あたりであればタワーレコードやHMVの店頭で買えたりしますので、この曲故により入手の難しいこのCDをお勧めする必要は無いでしょう。
 このCDは基本的に海外からの取り寄せになりますが、2008年1月時点ではamazon.co.jpに発注すれば入手可能です。ただ成り立ちは結構怪しいCDの様で、CDレーベルと番号はOrchard
4428という事になっていますし、その番号で発注出来ましたが、CD自身にはどこにもその表記がありません。記載されている番号はJA25という物で、レーベル名はありませんでした。ジャケット&ライナーノーツは一枚の紙のみで、そこに記載されているウェッブサイトもアクセス不能になっています。当然(?)録音データも何も無し、、
 Judith Alstadterはニューヨーク生まれで、ジュリアード音楽院とイェール音楽大学で学び、現在は主に教育者として活躍中との事です。彼女のCDにはクララのスケルツォ第2番・作品14とローベルト・シューマンの主題による変奏曲・作品20を収録した「Women
Compowers」もあります(Orchard 4397)が、2008年1月時点では入手困難になっています。
 
 
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