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Louise Farrenc Trio in E
Op.45
Clara Schumann Trio in G Op.17
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Streicher Trio
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レーベル;Music & Arts(U.S.A.) |
入手性;海外現行盤 |
CD番号;CD 917 |
お気に入り度;★★★ |
録音年月日;1994年7月 録音;DDD |
資料的貴重度;★ |
収録時間;54分14秒 |
音質 ;★★★ |
収録曲
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クララ・シューマン ピアノ三重奏曲 作品17
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ルイーズ・ファランク ピアノ三重奏曲 作品45
コメント
Streicher Trioはアメリカの女性三人組のピアノトリオで、1985年に結成されました。リーダーはCharlene
Brendlerでフォルテピアノ、またはチェンバロを担当。このCDでは1817年オーストリー製のフォルテピアノJohann
Fritzをベースにしたレプリカを弾いています。チェリストがSarah Freibergで1774年製のWilliam
Forsterを、ヴァイオリニストがCarla (Claraではないですね) Mooreで、製造者不明の19世紀のヴァイオリンを弾いています。
楽器の製作年代はこのトリオが作曲された1847年よりは古く、また1800年代半ばはピアノを中心として現代楽器への進化の過程にありましたので、ここに聴ける響きはクララが聴いたであろう響きよりも古いものでしょう。クララ本人が使っていたという1832年製のピアノによる演奏のZaharieva-Maleeva盤と比べても、ピアノはよりチェンバロに近い響きを持った、音が軽く、また減衰が極めて早いものです。ヴァイオリンとチェロの響きもまさにバロック楽器のもの。ちょっと渋めで余韻が少なく、なかなかの味わいがあります。そんな事を確認したくなるほど、ここに聴かれる音楽は良い意味でバッハ以前の音楽に多く聴く事の出来る、バロック的な、ほのぼのとした暖かさに満ちています。
演奏テンポは標準的で、ヴァイオリンのでの歌わせ方は素朴な中にも情熱を振り絞るようなもので、常に三人の中で主役を務めています。それにチェロが同様の渋い音色で寄り添います。一方でピアノの音は小さく軽く、存在感がずっと後退しています。一般的にクララの室内楽はピアノの存在感が大きいのですが、このStreicher
Trioの演奏ではピアノは脇役に回り、ヴァイオリンとチェロが主役にまわっています。
この独特の楽器構成と各楽器間の独特なプレゼンスのバランスによって聴く事の出来るクララのトリオは、個性的なことでは最右翼です。そして素晴らしい演奏でもあります。普段はAbegg
TrioやGelius Trioの名演を聴きながら、たまには気分を変えてこのStreicher
Trioを楽しむのに良いのではないでしょうか。あなたの心を柔らかくしてくれるでしょう。
ルイーズ・デュモン・ファランク1804年にフランス・パリで生まれ、1875年に亡くなった作曲家です。数多くの室内楽、ピアノ曲、交響曲、管弦楽、そして歌曲を残しています。ここに聴けるピアノトリオ作品45は、原曲はフルートトリオでフルートパートをヴァイオリンが弾いています。この曲は極めて詩情豊かな、優しいメロディに溢れた作品です。同じフランスの女性作曲家のエイミー・ビーチやジェルメーヌ・タイユフェールに聴かれる、いわゆる近代フランス的な香りがファランクには無くて、クララやファニー同様に女性ドイツロマン派的な優しさと哀愁を併せ持ったような音楽です。原曲を知らないせいも有るのでしょうけど、バロック楽器のバランスはこちらの曲では抜群と思える物で、何度聴いても飽きません。現代楽器の演奏で是非とも聴いてみたいですが、作品45をヴァイオリンで聴けるCDはちょっと思い当たりません。フルートによる演奏にはTrio
Cantabile (Thorofon CTH 2079)があるそうですが、入手は難しそうです。
このCDは一旦廃盤となり、その後また再プレスされました。しかし2001年9月現在、このCDを販売可能としているのはCD
Universeだけで、実質的に廃盤間近でしょう。
Updated in September 2001
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